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石庫門酒家で食べた蟹 |
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新天地 |
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事前に、中国の知人に現地ガイドの紹介を頼んでいた。名前は王さん。大学時代、大阪に三年間交換留学した経験がある。当初、周荘や朱家角など郊外半日旅遊も考えていたが、時間的な問題もあり、朝、打ち合わせて市内観光に切り替えた。最初に向かったのが新天地。
旧フランス租界の街並を再現した、最近にわかに注目を浴びている人気観光スポット。今世紀初頭の黒煉瓦を外壁にした住宅 石庫門
を改造したショップやレストランが、お洒落で、落ち着いた雰囲気を醸し出している。さしずめ、中国における「青山・六本木」の様相で、夜はバーなど若者たちで賑わうらしい。
中国共産党の第一回全国代表大会が開催された場所でもある。いま上海では緑化運動が進められており、横の人工池周辺の公園は移植された木々で整備されつつある。 |
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襄陽服飾市場 |
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200〜300軒の個人商店が所狭しと並んでいる。衣類、バッグ、靴、雑貨・・・。ここは、北京の秀水市場と同様、値引きを楽しむところ。中国語が話せなくても電卓で交渉できる。バーバリーのマフラーを手に取っていると、案の定、定員が声をかけてきた。買う気は最初からなかった。店を離れようとすると、「ちょっと待って」と言って別のマフラーを持ってきた。端っこの糸をライターで燃やし、「匂いが違うだろう。こっちは本物だ」と言っている。このような個人商店は、最初から高めに価格が設定しているため、値切って当たり前。免税店でブランド品を買うより、はるかに安い価格でそれなりの品質の偽ブランド品が買える。偽ブランド品と言えば、客引きがたまたまガイドの王さんに声をかけ、しばらく話していたが、彼が地元の人間と分かって安心したのか、こちらへ、と言って、我々を道を隔てた住宅街の中に連れていった。洗濯物が干してある小さな通りを少し入ると1軒の家。外から見ると普通の家だが、ドアを空けると、バッグや財布などの革製品がびっしりと並んでいる。取り締まりを避けた闇の店舗だ。さっきの市場に較べ、ブランド品ばかり。「友達価格」ということで、かなり安くしてくれた。 |
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自販機の普及は、一気呵成か |
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以前から、なぜ中国に自動販売機がないのか、と考えていた。コインの問題、盗難リスク、国際的に見て日本だけの特別な生活文化?それとも、なにか他に障害があるのか。去年、北京の頤和園の一角で日本製を見かけたが、あまり利用されている様子はなかった。売店の方が手っ取り早い?立地が良ければ、収益も大きい。商売上手な中国人なら飛びつくはずだ。交通信号機と同様、うまく行けば、金の鉱脈が眠っている・・・。そう感じていた。地下鉄は自販機だった。硬貨を入れると名刺大のカードが出てくる。それを改札口で挿入する(カードは再利用)。地下街でサントリーの自販機を見かけた。北京よりも進んでいる。そんなとき、下記の新聞記事を見かけた。1台約2万元(約30万円)で販売する予定だそうだ。
「富士電機が中国の冷凍装置メーカーと自動販売機の合弁会社を現地に設立する。日本を含めた海外メーカーが中国で自販機を製造、販売するのは初めて。2008年開催の北京五輪を控え、公共施設を中心に中国でも自販機が普及するとみられる。富士電機は現地シェア3割、年間売上高30億円を目指す」(日本経済新聞)
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徐家匯(Xiu jia hui) |
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地下鉄で徐家匯(じょかわい)へ。休憩を兼ね、近くの建国賓館で昼食。ここも春節の飾り付けがあった。少し歩くとたくさんの百貨店やコンピューター専門店があり、年末の買い物客で賑わっている。何軒かぶらぶらと覗いた。品揃えや品質など、ほとんど日本と変わらなくなってきている。横断歩道は、渋谷駅前並み。とにかく人が多い。 |
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タクシーが捕まらない |
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次の目的地は、庶民の生活感覚を味わいたいと、朝、頼んでいた生鮮市場。パック旅行では絶対に行かないところだ。そのためにタクシーに乗ろうとするがなかなか空車が来ない。来たとしても、横から他の客が割り込んでくる。早い者勝ちだ。乗客が降りる前に、乗り込んでくる者もいる。すでにタクシーは庶民にとって不可欠な足。閑古鳥が泣く日本のタクシー業界もバブル時代は同様の風景があったのだが・・・。 |
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多様化する交通手段 |
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初めて、上海を訪れたとき、その人の多さに圧倒された。今回、上海駅に行くことはできなかったが、多分、帰省客や旅行客で大混雑しているに違いない。また、以前に較べて渋滞が多くなった気がする。ガソリン代はリッター数元。ホンダ車が一番人気があり、納車まで三ヶ月かかる。ナンバープレートは一枚三万元。毎月、4000台の新車が飛ぶように売れているそうだが、このまま車が増え続けると、単に交通事故が増えるだけでなく、排気ガスの問題も出てくるだろう。自転車、バイク、バス、タクシー、地下鉄、鉄道など、交通手段も多様になってきた。そして新空港、リニアモーターカー、高速鉄道、自家用車・・・。世界の最先端の技術が中国に投入されていく。 |
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太陽市場 |
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タクシーで虹橋方面へ向かい、住宅街の一角に着いた。太陽市場と書いてあり、1階がスーパーマーケット。二階が目指す生鮮市場。肉、魚、野菜、蟹、鶏、鳩、穀類など新鮮な食材がふんだんに並んでいる。通路の床に座り、何本もの牛の尻尾(オックステール)を包丁で切っていた。少々グロテスクな気もしたが、こういう場所に中国旅行の醍醐味のひとつがある。 |
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肉のブロックのまま買っていく |
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盲人按摩 |
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歩き疲れたので、すぐ近くのマッサージ店に行った。周辺は日本の駐在員も多く、看板は日本語でも書いてある。時間がなかったので、30分だけやってもらった。目の不自由な若者が全身マッサージをする。一時間45元。フルタイムやっていたら、もっと気持ちがよかっただろう。 |
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カルフール古北店(家楽福) |
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カルフールは、一昨年日本にも進出したフランス流通業の大手。売上高世界第2位を誇る。今、中国の流通業は西洋化の波を受け、百貨店や、スーパーマーケット、コンビニなどのチェーンストアが激しい競争時代に入っている。ここカルフールは、衣料、家電、日用品、食品など広範な分野にわたって豊富な品揃えと低価格。ハウスと味の素合弁のレトルトカレー(現地生産)もあった。駐在員家族なのか、欧米人も目立つ。大きなカート一杯に商品が入り、たくさんあるレジはどこも長蛇の列。日本の流通業の衰退が言われて久しいが、ここは店内に活気がある。 |
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石庫門酒家で上海蟹を食べる |
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華東師範大学近くにある、王さんのお父さんが経営する石庫門酒家で夕食を取った。普通は学生たちも多いらしいが、春節を控え、客は比較的少ない。まずビールを頼んだ。上海は、サントリー(三得利)がどこの店でもよく出てくる。日本の朝日ビールも善戦しているが、サントリーは小規模卸の組織化と低価格戦略でトップシェアを握った。料理は、王さんに任せた。冷菜、冬竹の子の炒め物、コラーゲンたっぷりの豚の切り身、川うなぎ、牛肉の野菜炒め、豆腐、春巻、おこげ、とうもろこし、ビールに加え、紹興酒はボトル二本・・・、そして、上海蟹。最後に、小粒で甘い味の団円子(白玉だんご)。中国人が大晦日に食べるそうだが、わざわざ作ってくれた。この店は温かさが感じられた。。最後の夜は贅沢しようと考えてはいたが、非常高興(Very
happy)、非常感謝 !!。 |
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庶民的な石庫門酒家 住所:光復西路1961号 TEL:62922475 |
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アメリカとの関係が一番気になる |
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食事をしながら王さんはいろいろな話をしてくれた。料理にも陽の料理と陰の料理がある。浦東地区はいま、世界の大企業が集中して投資している。話題が、自分の娘の教育から受験競争に広がったとき、囲碁の碁盤はもともと子供たちが毎日、黒石と白石を並べて学習した。19 × 19 で361。確かに一年365日の数に近い。
王さんに敢えて質問をぶつけてみた。「中国は、こんなに発展しているのに、一方で不安材料もあると思いますが、王さんは何だと思いますか」「食糧問題などは心配ない。自分は、台湾返還問題と、詰まるところは、その背景にあるアメリカとの関係だろうと考えている」。中国は、将来アメリカに対抗できる、もうひとつの超大国になりうるのか。
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明日は大晦日 |
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王さんが、ホテルまで送ってくれて、四回目の上海旅行が終わった。しかし、まだまだ行きたいところは残っている。明朝は、七時過ぎにホテルを出て空港に向かわなければならない。近くのローソンでビールとつまみを買い、名残を惜しんでいると、花火の音がした。本当は、明日の夜だが、予行演習なのか。季節感の失われた日本と違い、中国の春節は相変わらずにぎやからしい。ただ、滞在中の好天気が再びくずれるとの予報で、人出は減らざるを得ないだろう。
日本経済が凋落する一方で、中国は今、世界各国の資本投下で成長を続けている。その代表が上海。商工業の中心地だ。その発展は、上海を要(かなめ)として放射線状に広がっていく。襄陽服飾市場や太陽市場にある庶民の活気、浦東地区への投資、車社会、流通業の変化、食文化の多様化、不動産市場・・・・、次回、上海を訪ねる機会があるとしたら、観光とビジネスにからんで、その時は、どのような新しい刺激を受けるのだろうか。 |