Movie
●夜半歌声(ファントム・ラバーズ) |
1927年、北京。宗丹平(ソン・タンピン、レスリー・チャン)の舞台「ロミオとジュリエット」は、その斬新さで一世を風靡し、人々を魅了していた。しかし、彼が愛したのは、財閥令嬢のユンエン(ウ・シンリン、「恋人たちの食卓」に出ていた)ただひとり。だが、ユンエンは権力者の息子と無理やり結婚させられ、その嫁ぎ先を追い出される。タンピンは何者か(後に判明)に襲われ、劇場もろとも炎に包まれてしまう。それ以後、誰ひとりタンピンの姿を見たものはいない。10年後、旅回りの一座が廃墟となったオペラ座にやってくる。若い劇団員のウェイチンはその夜、不思議な歌声を聴いた。そして、暗闇に走る人の姿。幻影なのか、それとも・・・。ウェイチンが問い詰めると、劇場管理人のマー老人は、その歌声の秘密を語り始めた。 |
タンピンは、襲われた時、硫酸らしきものをかけられ、醜い顔になっていた。ユンエンは、精神に異常をきたし、最後は失明する。そして再会するが・・・。 後半の展開が面白いラブ・ストーリー。主題曲も非常好!監督ロニー・ユー。 |
●単騎、千里を走る(千里走単騎) |
以前から、麗江に行きたいと思っているが、まだ果たしていない。 舞台となった麗江の村人たちは、試写会で新幹線や東京の街並をどのように観たのだろうか。自分の話をビデオで撮るシーン。言葉が通じなくても、気持ちを伝えたいという熱意があれば、なんとかなる。携帯電話やデジタルカメラが、この映画に重要な役割を果たしている。高倉健の口元に、無言の感情を感じる。親子の絆をテーマに「あの子をさがして」と同じく、素人たちの演技が光る。 |
●アイ・ラブ・北京(夏日暖洋洋) NHK衛星第二、劇場未公開作。 |
高給取りとしてのタクシー運転手という職業は昔の話。豊かになるに連れ、タクシーは庶民の足となったが、その分タクシー自体だけでなく、マイカーも増え続けている。初めて万里の長城へ行ったときに利用した黄色の面包車(ワンボックスの軽自動車タクシー)は既に廃止され、北京の街も渋滞や高級車が目立ち始めた。 経済発展に伴い、中国の人々の生活もさらに多様化していく。この映画では、若いタクシー運転手を通して、男女関係、家庭、貧富の差など、北京で暮らす人々の生活や思いが描かれる。これまでの中国映画のように多額の制作費をかけたり、有名な俳優を配しているわけでもない。そのことで、逆に自分もそこに生活しているような現実感が伝わってくる。 監督は 「北京好日」のニン・イン(寧瀛)、主演ユイ・レイ(余雷) 、 |
●LOVERS(原題「謀」) |
原題「謀」と「LOVERS」の融合が、この作品の内容を表し、前作「HERO」と同様、映像美、音響効果にインパクトを感じたが、見方によっては、アンデイ・ラウ、チャン・ツーイー、金城武という
3人の人気俳優を配しただけの三角関係愛憎劇。 世界的興行を意識し過ぎた、整合性のない演出で(ストーリー性消化不良)、チャン・ツーイーの長袖舞、ロケーション、 ワダ・エミの衣装を除けば、印象は今ひとつだった。。 チャンイーモウ監督の次回作は、アクションではなく、「活きる」のような、普通の人々の生き様をテーマにして欲しい。 |
●ションヤンの酒家Life
Show(生活秀) |
「山の郵便配達」の監督ということで期待していたが、インパクトのない、地味な作品だった。都会の一角で、鴨首肉の店を経営する主人公。勝気でヘビースモーカーな彼女は離婚経験がある。この映画のテーマは、家族、都市開発をからませ、女性の幸せとは何か、ということか。 |
●再見 ツァイツェン また逢う日まで(原題 我的兄弟姐妹 Roots and Branches) |
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以前、NHKの中国語講座で、長女役・梁詠h(ジジ・リョン)が、この映画の紹介を兼ねて、インタビューを受けていた。「家族は選べない」「縁は一生ついてまわる」という言葉が印象に残っていた。 ストーリーは、両親の不慮の事故で、4人の幼い兄弟姉妹が離れ離れになり、20年後に再会するという単純なもの。演出の面で不自然さや安易さを一部感じたが、文革直後と現在、東北と北京という対比を背景に家族愛・兄弟愛を描き、結局、ユイ・ユン監督の思惑どおり、涙してしまった。登場人物がいい顔をしていた。特に、4人の子役たちの純粋で健気な熱演がいい。父親役を演じたのが、あの崔健だったことは後で知った。 |
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→ 家族の写真 / 公式サイト(BGMもGood) | |
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●英雄(HERO) | |
後の始皇帝・秦王暗殺を図る4人の刺客を主題にした、チャン・イ―モー監督のアクション映画。見ごたえがあった。 画面を埋め尽くす無数の兵士たちや弓矢、剣のぶつかる音に代表される効果音、赤・黄・緑などの色彩美、特撮をからませた決闘シーン、水、風,胡楊などを駆使した自然、そして音楽、書・・・。秦王の古城は、どこだろう。カットひとつひとつに無駄がなく、スケールの壮大さも、これまでの中国映画とは一線を画している。 |
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→ 公式サイト | |
●たまゆらの女(周漁的火車) | |
「不幸になると分っていても、無名の詩人の男に無償の愛をささげる女チョウユウ。
彼女を心から愛しながら奪うことが出来ない、無骨な獣医の男。陶磁器の古都雲南省建水から水辺の都市重慶へ。はるかな道のりをチョウユウは彼に会うために汽車に乗る。あふれる想いを乗せて―。」 愛した男に会うために、10時間もかけて汽車に乗るという、忍ぶ思いと行動力。二人の男の間で揺れる女・・・。数多いコンリー作品の中でも、特に女の色香を感じさせた。 |
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●北京バイオリン(和ni在一起) | |
冒頭の水郷の街はどこ(上海の烏鎮?)。主人公は幼いとき、何故、駅にバイオリンとともに捨てられたのか。誰が彼にバイオリンを教えたのか。少年宮にいたバイオリン教師は、何故、時流に乗れなかったのか。若い女は金持ちの男に貢がせて生活しているのか。国際バイオリンコンクールに出場した少女は優勝したか、ラストシーン、北京駅へ走る主人公の少年が両手に持ったバイオリンと弓は、雑踏(どこ?)の中、傷つかなかったか。北京駅に、父親、バイオリン教師、若い女の三人が一緒にきたのは何故か ・・・。 そんな不可解なことは、とりあえずいい。父子の愛情を中心に、母親への慕情、男女の駆け引き、大人の打算、貧富、変貌する中国 ・・・、そのような日常がこの映画で描かれている。很好!。現役の音楽学院生である主人公の少年役ユン・タン、息子のためにいつも一生懸命な父親役のリウ・ペイチー、北京駅のコンコースで撮影されたクライマックス・シーンが印象に残った。監督チェン・カイコー。 |
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●草ぶきの学校(草房子) | |
1960年代初頭、太湖のほとりの小学校。その校長の息子が昔を回想する形で、この映画は展開する。転校してきた陰のある少女、いじめられる禿げ頭の少年、親が破産し学校に行けなくなった少年、悲恋の教師、息子の奇病を治すために転々と医者周りをする校長・・・。拝金主義、進学競争、一人っ子政策で甘やかされる小皇帝などの現代中国では、農村の自然、ゆったりとした竹笛、無邪気で純粋な子供たち、親子の絆は過去のものになったのか。草ぶきの屋根から主人公が小便をするラストシーンは、少し泣かせる。 | |
●至福のとき(幸福時光) | |
大連が舞台。失業や結婚、親子など、現代中国が抱える社会問題を絡ませながら、チャン・イーモー監督が、目の不自由な少女と工場をリストラされた中年男のふれあいを描く。五万人の応募者の中から選ばれたドン・チエは、役作りのために10キロ減量し、ガラスのような透明感のある少女を演じた。彼女のワンピースと笑顔が印象的だった。薄幸な少女にとって、自分に対する思いやりが至福の時・・・。この映画の山場はラストシーン。彼女は、父親に再会できるのだろうか。 チラシより抜粋。 |
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●王様の漢方(漢方道,Great wall,Great medicine) | |
健康と美容のために歴史を積み重ねてきた漢方薬や針灸などの中国医学。その中国医学を題材にした、この映画に、万里の長城、薬膳料理、朱旭の主演がなかったら、印象はもっと薄くなっていただろう。 以下、チラシより抜粋。 日々進化する現代の北京。名漢方医と出会い、長年の持病を治した日本人ビジネスマン。彼は漢方で一儲けしようと、漢方ツアーを企画し、心と体にさまざまな悩みを抱える日本人たちを連れて、中国に行く。インポのやくざ、性同一生涯の青年、西太后の美容術に挑むモデル、末期ガンの老人・・・。彼らは万里の長城の麓にある漢方医の家に合宿し、大自然の中で漢方の極意に触れることになる。それは、ただの治療ではなく生きるための知恵と勇気を得る体験だった・・・。 |
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●きれいなおかあさん(漂亮的媽媽) | |
北京で暮らす聴覚障害の一人息子と母親の物語。闇商売で捕まる。いじめで高価な補聴器が壊れる。タクシー運転手の夫は、子供の障害の重圧に耐え切れず家庭を捨てるが、交通事故死する・・・。いろいろな逆境。家政婦や新聞配達をしながら、息子に辛抱強く言葉を教える母。すべて子供のために・・・。母親の子供に対する愛情と強さが伝わる。気丈さと気弱さを演じる母親役は、コンリー。息子役のガオ・シンは本当の聾者。 | |
●活きる(活着) | |
映画の最終シーン。「大きくなったら、車や飛行機に乗れるいい時代が来るよ」。主人公が孫に言う。若いとき、裕福に暮らしていた彼は博打で父親の全財産を人手に渡す。身重の女房は、彼に愛想をつかし実家に戻っていたが、息子の誕生と夫の凋落をきっかけに、新しい生活を始める。博打に勝って屋敷を手にした男は、後に反革命の地主として粛清される。「人生万事塞翁が馬」か。本物の軍隊をエキストラに起用した国共内戦。大躍進運動のなかの息子の事故死。文化大革命の犠牲になったとも言える娘の出産(このシーンが一番のハラハラドキドキとブラックユーモア)・・・。精巧な影絵芝居や家族愛を縦糸に、中国の暗い近代史や当時の風俗が描かれる。「いい時代」とは、今の中国のことか。監督チャン・イーモウ。女房役は、「秋菊の物語」や「始皇帝暗殺」などに主演したコンリー。資産家の奥様から、気丈な女房への変化も興味深い。特に印象に残ったのは、「好好活着!(活きなさい!)」と、息子を事故死させた夫の旧友にかける言葉。辛いことや悲しいことも、「活き」てさえいれば、後に淡々と語れるときが来る?。次回は、彼女の「きれいなおかあさん」を見に行く予定。 |
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●こころの湯(洗澡、Shower) | |
北京の銭湯を舞台に、父子の家族愛と人々の交流を描いた作品。冒頭、洗車機ならぬ洗人機が登場し、驚かされる。知的障害者をキャスティングしたことで、ストーリーにめりはりが出ているが、父親役の朱旭だけでなく、この障害者を演じたジャン・ウーの演技も光る。日本で親子の断絶や家族の崩壊、近隣との没交渉が言われて久しく、銭湯も少なくなった。人と人との文字通り裸の付き合いは、中国でも都市再開発化の波とともに消えていく運命のようだ。 ところで「刮沙」はいつ日本で公開されるのだろうか。 |
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●あの子をさがして(一個都不能少) | |
チャン・イーモウ監督の 中国映画「あの子をさがして」を見た。貧しい山村の小学校に、赤いほっぺたをした一人の少女が先生として連れてこられる。土臭くて、とても純だ。彼女は、母の病気で出稼ぎに行った生徒を探しに街に出る。素人の子供たちの演技が胸を打つ。単なる大都市の観光旅行では決して体験できない世界がここにはある。 | |
●初恋のきた道 | |
「秋菊の物語」や「あの子をさがして」など、中国の奥深い山村に暮らす人々を描くチャン・イーモウ監督の作品。村一番の美しい娘(章子怡、チャン・ツーイー)が、町から来た一人の若い教師に恋をした。遠景の自然の移り変わりと、ゆったりとした笛の音をバックに、赤い綿入れ、髪留め、茶碗、轍(わだち)、校舎の窓、餃子などの小道具を使い、彼女の「いちずな思い」が描かれる。人は短い青春を終え、老い、そして、いつの日か死んでいく。人生は、どのような「いちずな思い」をどれだけ積み重ねていくか。そこにも、ひとつの幸せの図式があるのではないだろうか。 | |
●山の郵便配達(那山那人那狗) | |
この映画は淡々と進行する。1980年代の中国湖南省。山間の小さな村々を郵便配達員として歩き、手紙を届け続けた父が、息子にその仕事を引き継いだ。「郵便袋の方がずっと重い」父を背負って浅瀬を渡った息子が何気なく言う。歩き疲れ休憩していたとき、袋から出した手紙が突風で飛んでいく。観客の「あっ!」という声。山々の深い緑がきれいだ。一通の手紙に込められた、それぞれの人生。母、少数民族の娘、愛犬などとともに、世の中の無常、仕事、そして家族の絆が描かれ、静かだが、存在感がある。これから見たい中国映画・・・「過年回家」、「刮沙」。 | |
●變臉(ビエンリエン)/この櫂に手をそえて The king of masks | |
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その他、これまで見た中国映画 | |
●赤いコーリャン | |
●花様年華 | |
●菊豆 | |
●恋する惑星 | |
●恋人たちの食卓(台湾) | |
●五人少女天国行 | |
●始皇帝暗殺 | |
●宋家の三姉妹 | |
●秋菊の物語秋菊打官司) | |
●スパイシー・ラブジュース | |
●冬冬の夏休み(台湾) | |
●乳泉村の子 | |
●女人、四十 | |
●覇王別姫 | |
●非情城市(台湾) | |
●芙蓉鎮 | |
●北京の天使 | |
●北京好日 | |
●ヤンヤン夏の思い出(台湾) | |
●スケッチ オブ 北京(民警故事) | |
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