前門 |
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地下鉄・天安門東口で下車。地上に上がると、七年前に初めて訪れたときと同じく、天安門広場が目に入った。左手に歴史博物館と革命博物館、右手に人民大会堂。中央に英雄革命記念碑、毛沢東記念碑も見える。西長安街の手前は、故宮・紫禁城の入り口だ。天安門広塲と目と鼻の先には、観光客で賑わう前門と大柵欄がある。今回は、紫禁城の中には入らず、天安門広場から前門に向かった。
バイキングの店で昼食。十五元。ビールは相変わらず、冷えていない。前門は、上野のアメ横といった感じか。安い商品が通路に所狭しと並んである。小物や工芸品などを5元均一で特売していた。急須が10元でたくさん売っていた。個人商店はインチキ商品が多い。宜興紫砂の茶器セットが350元。どうせ冷やかしと見ているだけだったが、「カモが来た」と思ったのか、店主が盛んに薦める。有名な作家の作品で証明書もここにある、と言っているらしい。全く興味はなかったが、「安くしろ」と言うと、暫く考えたふりをして、280元にするという。そして、証明書の説明をまたする。帰ろうとすると、それでは、200元でどうか、と言う。普通、こういった店の商品は、最初から高く設定してあり、1/3から半分が妥当な値段だ。案の定、他のちゃんとした茶器の店で同じものが128元で売っていた。タバコを吸っていると、小汚いおばさんが横から、そのタバコをくれ、と近づいてきた。足の不自由な乞食もいた。一時間ほど前、10元だった急須がいつの間にか、高くなっている。北京の名所旧跡に行くより、このような街を歩くほうが面白い。 |
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前門 | |
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秀水市場 |
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そういえば、建国門近くの秀水市場でも同じようなことがあった。衣料品を中心に数百メートルに渡って通路両サイドにびっしりと個人商店が並んでいる。偽ブランド商品も多い。プラダのショルダーバッグがあったので、立ち止まってみていると、店員が声を掛けてくる。いくらか、と聞くと、380元。高いと言うと、すぐに300元。迷っているそぶりをしていると、いくらならいいかと聞いてくる。少し間をおいて150元というと、それでいいと言う。しかし、一瞬、買うのを止めた。100元にしろ、というと店員が怒り出した。「お前は150元でいい、と言ったではないか」と言っているらしい。無視して、店を離れようとした。店員が追っかけてきた。不満そうに、100元でいい、と言う。このあたりが買い時と思い、100元払った。 |
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2005年1月、ここは取り壊しになり、新設ビルに移転しました。 |
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大柵欄 |
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天津の狗不理包子(こうぷりぱおず)や同仁堂薬店、張一元茶店などが目に入った。中国茶販売で有名な天福茶荘に入った。茶器を見るためだ。中国に行くと200−300元程度(3000−5000円)の急須(中国では茶壷という)を買うことにしているが、宜興や景徳鎮など、欲しいものがたくさんあって迷ってしまう。お茶も、高級茶は500g2000元。下手すると、庶民の二か月分の給料に相当する。帰国前日に、再度来ることにした。 |
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琉璃敞 |
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雑踏を抜けて住宅街へ。レンガ造りの古びた家が続く。少し行き過ぎたが、次の目的地の琉璃敞(りゅうりちゃん)に着いた。文芳四宝(筆・紙・硯・墨)を中心に陶磁器、印鑑などを売る店が集まっている。栄宝斉という有名な店に入った。入り口正面には、畳一畳ほどの大きな硯が飾ってある。ガラスケースの中には、羊の筆が一本数十万円というものもあった。プロにとっては欲しい物も多いだろう。観光客相手ということもあって値段は全般的に高いように思える。徐悲鴻、白石など有名な画家の絵のコピーが飾ってあった。結局、看一看(かんいーかん)、覗いただけで店を出た。 |
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天壇公園 |
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天壇公園へタクシーで向かう。運転手と交渉し、十五元。走り出してもメーターを下ろさない。到着する直前にメーターを下ろした。十元の料金が表示される。これで運転手は、五元ピンはねできることになる。天壇公園は、北京観光の代表的な場所。韓国、台湾、アメリカ、ヨーロッパ、日本など多くの外国人ツアー客で賑わっている。曇天のせいか、前回、来たときに比べ、すすけた感じがする。入園料三十五元は高い。 |
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王府井 |
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天壇公園入り口付近には多くのタクシーが停まっていた。メーターを倒さず、ぼられるかも知れないと思ったので、王府井までの料金を聞いた。数台が二十元から二十五元と答えた。彼らもピンはねを考えているのだろう。二十元くらいだと思うが良く分からない、という車に乗った。最初からメーターを倒した。実際は、十七元だった。
王府井は、北京で一、二を争う繁華街。99年の建国五十周年に道路は整備された。大きなビルが建ち並び、ロレックス、マクドナルド、東芝、NEC,ダイキンなど外資系企業の看板が目立つ。日本の繁華街に比べて小規模だが、ウィンドショッピングしているだけでも面白い。中国も、繁華街を見る限り、日本と余り違和感はなくなってきた。小喫街は雑貨や軽食を売っている。五つ星ホテル・王府飯店近くの衣料品点で、シルクのパジャマ二着を110元で買った。 |
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西単 |
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翌日、北京の繁華街・西単を歩いた。まず、中国国際航空の入っている民航営業ビルでチケットの確認をし、となりの北京図書ビルに入った。ここは、ガイドブックによると、中国最大の書店らしい。日本の紀伊国屋などの大型書店にも負けないくらいの書籍数で、店内はきれいで明るい。外国語のフロアーは圧倒的に英語の本が多い。西単北大街と西長安街の交差する文化広塲を通り、百貨店やショッピングセンターなどを見て歩く。四つ星のホテル・広州大厦のレストランは昼食が68元。高すぎるので、近くで10元の牛肉面セットを食べた。携帯電話やパソコンの店が集まったビルがあったが、中関村より客の入りは少ない。地下鉄の車両の中で、北京市内の不動産の広告が目に入った。平米約6000元から、と書いてあった。坪当たり、最低約25万程度か。やはり、まだまだ庶民には高値の花だろう。 |
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こういったオブジェは、よく見かける |
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若い女性たちが、きれいになっていく |
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通りで、女性モデルが写真撮影していた。近年、ファッション雑誌が増え、モデルの数もかなり多くなったらしい。この日、地下鉄に乗っていたら、白いコートを颯爽と着たロングヘヤーの女性が乗り込んできて、ドアの近くに立った。場違いと思ったら、テレビのコマーシャルかドラマの撮影だろう、ホームから車中の彼女を写すカメラマンなどのスタッフが目に入った。へそだしルックの女性が闊歩する。百貨店の一階は日本と同様、有名ブランド化粧品のコーナー。婦人服のブランド品も売れる。後ろ姿がかっこよく、前を見るとがっかり、ということも多いが、全般的に、若い女性たちが、ますます、きれいになっていく。 |
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頤和園 |
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北京の代表的な観光地・頤和園。もともとは清朝の離宮で、後にあの悪名高い西太后が政務を司っていた場所でも知られる。浅田次郎の大作「蒼穹の昴
(そうきゅうのすばる)」にも登場するが、福岡の大濠公園を何倍も大きくした感じで、杭州の西湖に似ている。日曜日ということもあって、観光客で一杯。七年前にこの地を訪れたときと同じカットで、写真を撮った。背景は、昆明湖と仏香閣。ここは、ゆったりとした気持ちになれる。北京で好きな場所のひとつだ。 |
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徐悲鴻記念館 |
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二時過ぎ、遅い昼食を取り、徐悲鴻記念館へ。徐悲鴻は、近現代中国を代表する画家。特に馬の絵で有名だが、展示室の奥中央に飾ってあった「九方皋
(きゅうほうこう)」という絵が印象に残った。入館料5元。頤和園から記念館へ向かう途中、北京大学、人民大学、北京理工大学などの大学が見えた。中国のシリコンバレーと言われ、今、世界的に注目されている中関村を通った。 |
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IT産業の拠点、中関村がいま注目されている |
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今回の旅行目的のひとつでもあった、中関村に行った。このあたりは、近年、連想や方正といった中国を代表するコンピューター関連企業だけでなく、日本やアメリカなどのメーカーも相次いで研究機関を開設しており、いま世界が注目する中国ITビジネスの拠点でもある。その背景には、北京大学、精華大学、北京理科大学など、たくさんの大学や科学技術院が集中しており、その研究結果が、いわゆる産学共同体として発展を始めた。科学技術院ではWindowsに対抗するOSを開発、連想に続き、業界売り上げ二位の方正という企業は北京大学の研究室から生まれた。
電脳とは、中国語でコンピューターのこと。太平洋電脳市場や中海電脳市場といった、パソコンおよびパソコン関連機器の多くの専門店を一同に会したビルがいくつもあり、どこも客で賑わっている。ビル内を歩いているだけで、それぞれの店の人間がバンフレットを片手に声を掛けてくる。販売競争も熾烈だ。ガイドブックには「日本の秋葉原」として紹介してあるが、電器部品も売っており、納得。現在でも、一帯は新しいビルの建設がさらに進んでいる。中国ではインターネット人口が急速に増えていると聞く。ソニーや富士通、東芝などのパソコン製品の値段を円換算してみると、日本の量販店とほぼ同じ価格。貨幣価値が違うから、その分、庶民にとっては、まだまだ高値の花だが、所得の向上により、個人がマイカーだけでなく、パソコンを持ち始めると、その市場性や中国社会への影響は極めて大きい。 |
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精華大学正面 | |
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