What'sNew
第1回 〜 第12回
●酒場での出会いが・・・
ある酒場での出来事です。最後の演奏を終えた中年のギタリストがカウンターの隅に座り、一杯の酒を注文しました。我々はどちらからともなく話し掛け、時が立つにつれ、いつのまにか打ち解けていました。そして彼が誘いました。「今度、一緒に上海に行きませんか?」。彼は、それまでに何度も中国各地の少年宮を訪れ、子供たちにクラシックギターを教えていました。私の中国への旅はこうして始まりました。
●なぜ、中国?
杭州・西湖から始まった中国への旅。前回は書道家・松田朴伝先生たちと石の街・福建省を訪ねた。なぜ、中国に魅かれるのか。映画「北京的西瓜」にあった「受一滴水恩、必将涌水相報」という言葉。やはり、人々との出会いに何かを感じるのだろう。
●上海の混沌
初めて上海を訪れたときに感じた「混沌」。それが中国への旅のきっかけだった。悠久の歴史を通して築かれた伝統文化や建造物、壮大な自然、経済開放政策に翻弄される人々、意味深い中国語、多様な中国料理・・・。最近、中国茶にも興味を持ち始めた。確かに中国には好奇心をあおる何かがある。今までに訪ねた沿岸部の大都市は中国の一部に過ぎない。内陸部にも行きたい。そして生活者としての中国の人々にもっと触れたい。さて、次回はどこに行こうか。
●中国映画「あの子をさがして〔一個都不能少〕
チャン・イーモウ監督の 中国映画「あの子をさがして」を見た。貧しい山村の小学校に、赤いほっぺたをした一人の少女が先生として連れてこられる。土臭くて、とても純だ。彼女は、母の病気で出稼ぎに行った生徒を探しに街に出る。素人の子供たちの演技が胸を打つ。単なる大都市の観光旅行では決して体験できない世界がここにはある。ちなみに同監督の「秋菊の物語」もオススメです。
●「セレン茶」って何?
知人がセレン茶の通信販売を始めた。なんでも中国原産の緑茶で、セレン(セレニウム)という人間の健康にとって不可欠な必須微量元素が含まれている特別なお茶だという。アメリカでの研究結果によると、この天然セレニウムはガン、動脈硬化、心臓疾患、老人ボケ、リウマチ、精力増強、美肌効果まで幅広い効能がある健康活性ミネラルで、最近注目を集めているらしい。ヘビースモーカーの自分も肺がん予防のためにサンプルをもらって飲み始めた。果たして結果はいかに・・・。
●小さな留学生
久しぶりに民放でまともな番組を見た。フジテレビ系列で再放送されたドキュメンタリー番組「小さな留学生」。父親と暮らすために、母と共に北京から東京にやってきた九歳の小学生・張素。気丈で素直で利発だ。番組は、先生やクラスメートたちとの交流を中心に、彼女の二年間の滞日生活を描く。現在は北京に戻り、身長165Cmの中学二年生。将来、日本と中国の掛け橋となるべく外交官を目指しているという。
●中国国宝展
上野の東京国立博物館で開かれている「中国国宝展」を見てきた。仏像・玉・土器・青銅器など紀元前から唐の時代くらいまでの出土品が展示されている。曲線を主体とした細やかな文様や精巧な加工技術・造形は、時代を超えて作り手の息吹を感じさせ、故宮博物院の文物とは、また違った驚きがあった。
●大地の子
山崎豊子原作の「大地の子」が再放送された。4〜5年前の最初の放送、衛星放送での再放送に続き三回目だ。中国残留孤児をテーマにしたこのドラマは、文化大革命後の近代化を象徴する上海宝山製鉄所建設をからませ、大変興味深く感動的だ(原作の本の方がもっとストレートで凄惨だが・・・)。特に、主人公陸一心の妹が亡くなるシーンは絶句してしまう。陸一心を演じる上川隆也は特訓を重ねて中国語のせりふを覚えた。目的があれば、語学の上達も早いということか。そして陸一心の父親を演じる朱旭(彼の映画「變臉(ビエンリエン)※」も素晴らしい)と奥さんを演じる将(正しくは草冠に片扁)文麗がいい!!
※変じるに中国語の顔という字。何種類もの面を瞬時に変える特技を持つ大道芸人の老人と少女の物語。日本名は「この櫂に手をそえて」
●中国茶の愉しみ
紅茶やコーヒーとは、また違った嗜好品として中国茶に関心を持つ人たちが増えているのだろうか、最近、中国茶専門店や関連書籍も増えてきたような気がする。その動きを受けてか、NHK教育テレビで「中国茶の愉しみ」という番組が始まった。テキストを見ると、緑茶から花茶まで七種類の中国茶とそれにあった料理や菓子を紹介していくようだ。マンネリ化した日常の中で、なんとなく上質な時間に身を置くことに自分だけの愉しみを求める。そのひとつが中国茶の世界か。しかし、現実問題として高級茶はまだかなり高い。茶葉だけでなく、茶具も凝り出すときりがない。だからこそ、中国茶の世界は奥深いとも言えるのだが・・・・。
●初恋のきた道
「秋菊の物語」や「あの子をさがして」など、中国の奥深い山村に暮らす人々を描くチャン・イーモウ監督の作品。村一番の美しい娘(章子怡、チャン・ツーイー)が、町から来た一人の若い教師に恋をした。遠景の自然の移り変わりと、ゆったりとした笛の音をバックに、赤い綿入れ、髪留め、茶碗、轍(わだち)、校舎の窓、餃子などの小道具を使い、彼女の「いちずな思い」が描かれる。人は短い青春を終え、老い、そして、いつの日か死んでいく。人生は、どのような「いちずな思い」をどれだけ積み重ねていくか。そこにも、ひとつの幸せの図式があるのではないだろうか。
●中国語ジャーナル
昨年11月、月刊誌「中国語ジャーナル」(アルク)が創刊された。CD付きで1280円。インタビュー、ニュース、ラジオドラマ、エッセイ、中国語解説などで構成されている。最新中国流行音楽(チャイナポップス)も捨てがたい。ヒアリングの勉強と思って買ったが、早くも二号目で息切れしてしまった。ネイティブなスピードと話題はそれなりに魅力的で、編集者の意図も分からないことはないが、ある程度の力がないと継続しない。やはり、明確な学習目的と持続する強い意志がポイントだろう。
●中国・松茸新事情
NHKの衛星放送「地球に好奇心」で、四川省の奥地で松茸採りで生計を立てる村人たちのレポートが放送された。日本向けの松茸採りが始まって15年。貧困の村は少しずつ豊かになり、県の税収の七割を松茸に依存するようになった。しかし、昨年は乱獲や天候不順のせいか、一転して不作、収穫は例年の三分の一にも満たなかった。村人たちの生活は困窮し、親は家畜の牛を手放し、子供たちは進学を断念する。改革開放の波に乗った華やかな中国沿岸部の発展と異なり、チベットの高い山々に囲まれたこの村の人たちは、今も毎日の貧しさと戦っている。
第13回 〜 第24回
●中国野菜
中国野菜を輸入している友人に会った。不景気の中、日本国内の青果市場で一部倒産が始まっているらしいが、彼の会社は順調だ。確かに、スーパーでも椎茸などの各種中国産野菜が目に付くようになった。このままいくと、中国野菜の怒涛のような輸入によって、日本だけでなく、韓国の農業もいずれ破綻する可能性がある。邱永漢さんによると、国際的な格差をうまく利用してお金儲けをするのを「ユニクロ現象」と呼ぶそうだが、工業製品だけでなく、農業の分野でも中国の存在がクローズアップされてきた。
●一年ぶりの中国
一年ぶりに中国に行ってきた。今回は、大連と長春。幸い天候にも恵まれ、八日間があっという間に過ぎた。都市部に慣れてきたせいか新しい刺激は余りないが、人々の生活がますます豊かになってきていることを実感する。しかし、長期的なスパンで見たとき、この国はどのように変化していくのか。次回の目標は、中国語能力の向上。直接的なコミュニケーションを通して、より彼らの考えや生活に触れてみたい。
●私の太陽
フジテレビ系列で放映された中国人留学生ドキュメント第三弾。
「夢を信じて頑張っている人を神は見捨てない」。中学生の娘が、そう言って微笑んだ。父・李仲生は35歳の時に来日し、学位取得のための勉強を続けた。それまで千葉大学では一人の経済学博士号取得者も出していなかった。まして、言葉の不自由な外国人にとってハンディキャップは大き過ぎる。1DKでの生活は、妻が皿洗いのアルバイトで支えた。悪夢は、突然やってきた。祖国に学校を作りたいと言う夢を持ち、こつこつと貯めた全財産の400万円を、夫が内緒で投資し、巨額詐欺事件に遭って失ったのだ。そのことがきっかけで、彼は3畳一間家賃二万円のアパートで別居生活を始め、睡眠時間を削っての論文制作の日々を続ける。
大晦日の夜、久しぶりの家族三人の食事。思い余って見せる妻の涙が胸を打つ。夫は「オーソレミヨ」(私の太陽)を歌った。二度目の受験も失敗。しかも、不景気の影響で妻もアルバイトを解雇され、収入は途絶えた。しかし、彼女は、意外とさばさばとしていた。「私の青春は一度の瞬きで終わった。結婚したときが唯一、幸せだった。多分、今、日本で暮らす中国人家族の中で私たちが一番貧しいでしょう。でも、私たちには家族がいて、夢を持って生きている」。
今年春、彼はついに博士号を取得。北京に戻り、大学の教壇に立つことになった。49歳にして夢を果たしたのだ。
●映画「山の郵便配達」
この映画は淡々と進行する。1980年代の中国湖南省。山間の小さな村々を郵便配達員として歩き、手紙を届け続けた父が、息子にその仕事を引き継いだ。「郵便袋の方がずっと重い」父を背負って浅瀬を渡った息子が何気なく言う。歩き疲れ休憩していたとき、袋から出した手紙が突風で飛んでいく。観客の「あっ!」という声。山々の深い緑がきれいだ。一通の手紙に込められた、それぞれの人生。母、少数民族の娘、愛犬などとともに、世の中の無常、仕事、そして家族の絆が描かれ、静かだが、存在感がある。これから見たい中国映画・・・「過年回家」、「刮沙」。
●威圧の中国 日本の卑屈
長谷川慶太郎と中嶋嶺雄両氏の対談集(ビジネス社)を読んだ。台湾を対極に置き、李登輝氏ビザ発給問題・中国へのODA・教科書問題などに対する日本の外交、中国の「覇権主義」と国防予算、中国共産党の腐敗・堕落など、歯に衣着せぬ内容だ。例えば「中国の水危機の可能性や自然破壊による公害は、想像以上だ」「ブッシュ政権は中国を競争相手と位置付けているため、オリンピックが北京で開催される可能性は低い」「携帯電話の普及が、情報遮断による全体主義国家を崩壊に導く・・・」。さて、どうなるか。
●ビザがおりない
知り合いの中国人に頼まれて、外務省に電話をかけた。大連で会社を経営する彼の友人が来日申請しているが、なかなかビザがおりないので、直接聞いてくれないかと、という依頼だ。外務省には複数の電話があるが、なぜかどれも、いつも話し中で、やっとつながったかと思うと、「まだ結論が出ていない」という返事。「もう何回もお電話いただいていますね。二ヶ月以上たっていますので、難しいかも知れませんが、審査官に伝えておきます」。福井に住む友人からメールがあった。「自分も同じように頼まれて外務省に確認したが、却下された。六ヶ月たたないと再申請はできない。理由を尋ねると、法律上、お答えできません、と言われた」。彼の友人は市政府に勤める人だ。中国人の入国は厳しい、と聞いてはいるが、こんなに待たせたり、申請却下の本当の理由は何なのか。
●インターネットカフェの危機
ネット上で次のような記事をみつけた。「香港の中国人権民主化運動情報センターは6月22日、天安門事件の見直しを求める意見が出るなど大胆な論調で知られる中国のインターネット人気論壇が突如閉鎖された、と発表した。共産党の報道の自由抑圧への批判が相次いだ週刊新聞『南方週末』の論壇も最近閉鎖されるなど、インターネットに対する当局の統制が強まっているという。また、5月以降中国国内の8000余りのインターネットカフェが営業停止や閉鎖になったという。」
旅行中、随分インターネットカフェが増えたと実感していただけに、このような処置は中国の民主化への疑問を引き起こすことにもなるだろう。
●中国に対する理解
「・・・先ず腹一杯にしてあげるというのがさしあたりの政治の目標です。文化大革命の頃は何百万人もの人が餓死したのですから、あの頃に比べれば、たとえ失業はしても餓死しなくなっただけでも格段の進歩です。ともかく食えるようになったことで、中国の人たちはとても満足しています。よく中国の政治の後進性や共産党の腐敗が問題になりますが、折角メシが食わせてもらえるようになったのに、いまの政府は要らないと考える中国人はほとんどいないと言ってよいでしょう。中国に対する理解はそのへんからはじまるといいですね。」
※この文章は「もしもしQさんQさんよ」という邱永漢さんのHP(http://www.1101.com/Q/index.html)から抜粋しました。中国に関する実践的な情報も掲載されています。
●北京オリンピック
人権問題への批判や大会運営能力に対する懸念を抑え、2008年のオリンピック開催地が北京に決まった。中国の人々の悲願だっただけに、その喜びもひとしおだ。インフラが整備され、中国に対する関心も高まるだろう。その間、中国はどのように変化していくのか。オリンピックというスポーツの祭典に向け、台湾との緊張関係が緩和し、庶民生活の向上や民主化が進むのだろうか。
●景気のいい話
山東省青島出身で、中国野菜を輸入している友人に、半年ぶりに会った。彼は去年、20代半ばで独立し、わずか一年余りで四人の従業員を雇うまでになった。今後は、水産物や肉の輸入も手がけたい、と意気盛んだ。「自分のところのような小さな会社にとって、セーフガードは大手輸入業者の安売り競争に振り回されないから、もっと続けてほしい」、「自分が独立前に勤めていた野菜輸入会社の社長( 建甌・武夷山の項、参照)が、最近一億円の家を建てた」と景気のいい話が続く。失業率5パーセント時代の日本と違い、中国関連ビジネスは、中国の発展とともに少なくとも北京オリンピックまでは成長路線を走り続けるのだろうか。
●六年前のビデオ
ビデオの整理をしていたら、1995年にNHKスペシャルで放送された「中国12億人の改革開放」が出てきた。全10週分。「世界の人口の五分の一、12億の人々が暮らす中国。中国はいま巨大な龍となってうねり始めました。広大な大地に繰り広げられる大いなる実験『改革開放』。中国は、そして中国の民はどこへ向かおうとしているのでしょうか?・・・」。テ-マ音楽とともに、松平定知アナウンサーのナレーションが印象的だった。そして、2001年。政治的、社会的安定のもとに、中国経済は発展を続けている。WTOへの加盟ももうすぐだ。しかし、一方で環境問題をはじめ内包する問題も多い。同時多発テロ事件の関連ニュースも目が離せないが、中国の人たちのこれからの生活にも大いに関心がある。
●やがて中国の崩壊が始まる
書店を覗いたら、中国関係の書籍が新しく何冊か並んでいた。その数冊は、いずれも中国の発展を賞賛し、中国ビジネスに乗り遅れるな、北京オリンピックも決まり中国の未来は明るい、と好意的な内容だ。しかし、一冊だけ、「やがて中国の崩壊が始まる」という本は、その逆だった。WTO加盟から五年以内に一党独裁体制は終焉を迎える。WTOへの加盟によって、基幹産業である国有企業は国際競争にさらされ、壊滅的な打撃を受ける。あと数年もすれば、数千万もの人々が職を失って、社会秩序の維持は難しくなる。成長は鈍化し、輸出は低迷し、外資はさらに減少し、経済活動はおぼつかなくなるだろう。幹部の腐敗、瀕死の国有企業、法輪功の抵抗、各地で頻発する労働者・農民のデモ、一触即発のチベット・ウィグル、台湾独立問題など、中国共産党の体制維持を脅かす状況が存在する・・・。楽観論と悲観論。どちらが中国の近未来を言い当てているか。
第25回 〜 第36回
●中国が賭けに出た
中国政府が待ち望んでいたWTO加盟が正式に決まった。中国は、なぜWTOに加盟したのか。それは、「外圧」を利用しなくては今後の発展がありえないからだろう。要するに現在の中国政府には国内の抱えている諸問題(主に経済発展・食料問題・エネルギー問題)を解決するだけの金と技術が足りないのだ。これまで中国は社会主義市場経済という特異なシステムによって、海外企業から国内産業を守り、経済開放後、2桁近い成長という順調な発展の道を歩んできた。WTOに加盟すれば特定の国内産業(主に自動車・IT・テレコム・農業)が短期的に外資から大打撃を受けるのは明白で、失業者が増加するのは目に見えている。そのリスクを犯しても賭けに出なければならないほど中国の国内問題は深刻化しているのだ。自由貿易体制に入った中国の動きは、西側の経済にどのような影響を与え、中国自身はどのように変わるのだろうか。
●「発展は北東アジアから・中国遼寧省長」(NHK BS)
今年二月、大連市の経済発展に大きな功績を上げた薄煕来氏が、中央政府の要請により、任期半ばで遼寧省長に昇格した。この番組は、21世紀の中国を担う若きリーダーとして期待される薄氏をインタビューをまじえながら紹介している。薄一波という革命世代の幹部を父に持ち、文化大革命を経て、北京大学社会科学院大学院に進み、共産党入党。1993年に大連市長に就任。「中国人は、経済と社会が発展していれば、それでいい。イデオロギーよりも経済発展だ」と現実的で未来志向的だ。国有企業倒産による失業率10%(400万人)、省都・瀋陽市幹部の汚職腐敗対策など課題も多いが、一方で日本や韓国との貿易振興、大連港や鞍山製鉄所の活性化、観光客誘致のためのレジャーセンター開発など、中国北東部の経済発展に向け、その行動力は人々の大きな支持を受けている。
●「中国のWTO加盟からアジアの時代が」
『WTO加盟によって、いままで国内産業を保護するために設けていたさまざまな規制を緩和しなければならなくなり、関税くらいしか歯止めが効かなくなった上に、その関税も期限を切って引き下げることになっていますから、自動車から農産物まで、中国の受ける打撃はかなり大きいだろうと言われています』。(中略)しかし「生むは案ずるより安し」と言うように、実際に困難にぶつかって見なければ、それを乗り越える知恵は出て来ません。それを乗り越えることによって人間も経済も成長するものです。恐らくあれも駄目、これも駄目と言っていた制約が2010年までには1つずつはずされて、外国企業も中国で営業できるようになるでしょうが、それ以上に中国が欧米や日本の工業技術や経営理念を取り入れて、それと互角かそれ以上の水準に達することはそんなに将来のことではないでしょう。』
●映画「こころの湯」
北京の銭湯を舞台に、父子の家族愛と人々の交流を描いた作品。冒頭、洗車機ならぬ洗人機が登場し、驚かされる。知的障害者をキャスティングしたことで、ストーリーにめりはりが出ているが、父親役の朱旭だけでなく、この障害者を演じたジャン・ウーの演技も光る。日本で親子の断絶や家族の崩壊、近隣との没交渉が言われて久しく、銭湯も少なくなった。人と人との文字通り裸の付き合いは、中国でも都市再開発化の波とともに消えていく運命のようだ。
ところで「刮沙」はいつ日本で公開されるのだろうか。
●「経済の発展が政治体制を変えます」
『昆明から上海に向かう飛行機の中で考えたことがあります。良いことも悪いことも含めて、いよいよ中国の時代が始まるということです。(中略)
「やがて中国の崩壊が始まる」という本があります。飛行機の中で頁をめくったのですが、共産党は必ず滅びるという確信が先にあって、その眼ですべての現象をとらえています。その割にはよく調査もしているし、情報も正確で、説得力のすぐれた立派な本でした。
経済の発展に政治体制が追いつかないので、政治体制そのものが人民から愛想をつかされる日が必ず来る、しかも五年以内に・・・というのが結論ですが、なるほどという説得力もありますが、おそらくそういう展開にならないだろうというのが私の感想です。(中略)台湾で一遍実験して成功した政治改革の知恵が大陸で応用されないわけがないというのが私の見方です。(後略)』
●中国求人情報
インターネットで、「中国 求人」と検索すると、たくさんのサイトが出てくる。掲示板にも、日本人向け・中国人向け、それぞれの求人・求職情報があり、さらに増える傾向にあるようだ。そのなかに、北京のある私立大学で、日本語学校教師の募集欄を見つけた。インターンシップ制度ということで、宿舎と食費は先方負担だが、月の手当てが1000元(約15000円)。一日に換算すると約50元。今や、1000元の月給には、中国人でさえ振り向かない。日本経済が低迷し、中国に新天地を求める日本人は多いと聞く。しかし、現地で仕事をすることの先に何を見ているのか。求職者にとって、中国社会や現地企業にどれだけ恩恵を与えることができる職務能力があるか、それがポイントだ。ますます競争が厳しくなるであろう中国のビジネス社会も、フリーで就職し、高給を得るには、それだけの実績と能力、つまり即戦力が求められるは、日本と同様、当然である。
●天長地久
中国人の友人の家に行った。彼は長春出身で、現在、福岡市内の内装会社で働いている。幼いころから書道を勉強し、大学では美術を専攻、その作品の幅は、今、彫像、油絵、写真、篆刻(てんこく)などにも広がっている。彼の部屋に、一枚の額がかかっていた。近く結婚する友人に送るために書いた。「いつまでも、末永く、一緒にいる」という意味があるそうだ。漢字の国・中国。そこには、長い歴史を経て培われた文化や思想が、我々日本人の言葉とはまた違って、短い四字のなかに込められている。
●中国は世界の問題国家に・・・
これは『覇権か、崩壊か 2008年中国の真実』(ビジネス社、中島嶺雄・古森義久)という本の中の一章だ。「私は案外早く中国が深刻な崩壊の危機を迎えるのではないかとみています(中島)」「私は自分自身が対中ビジネスを生業にしていなくて本当に良かったと感じます(古森)」。中国研究者とジャーナリストの二人が、中国の近未来を多角的・悲観的に語っている。安易な考えで中国進出を検討している日本企業や、北京オリンピック決定などで「中国の時代が来る」と好意的にみている日本人にとって、このような見方もあるということは知っていて良いだろう。
●北京は潤いのない街?
七年ぶりの北京。前回は、故宮、頤和園、万里の長城など主な観光地を回り、旅行者としての中国の歴史や壮大さを感じた。今回は、都会の人々の生活の変化に興味を持った。新築の高層ビル、カラフルな女性のファッション、スーバーマーケットや百貨店の品揃え、幹線道路を走る自動車の群れ・・・。なんら日本と違和感はない。しかし、この北京がなんとなく、無機質で潤いのない街と感じたのはなぜなのか。
● 映画「活きる(活着)」
映画の最終シーン。「大きくなったら、車や飛行機に乗れるいい時代が来るよ」。主人公が孫に言う。若いとき、裕福に暮らしていた彼は博打で父親の全財産を人手に渡す。身重の女房は、彼に愛想をつかし実家に戻っていたが、息子の誕生と夫の凋落をきっかけに、新しい生活を始める。博打に勝って屋敷を手にした男は、後に反革命の地主として粛清される。「人生万事塞翁が馬」か。本物の軍隊をエキストラに起用した国共内戦。大躍進運動のなかの息子の事故死。文化大革命の犠牲になったとも言える娘の出産(このシーンが一番のハラハラドキドキとブラックユーモア)・・・。精巧な影絵芝居や家族愛を縦糸に、中国の暗い近代史や当時の風俗が描かれる。「いい時代」とは、今の中国のことか。監督チャン・イーモウ。女房役は、「春菊の物語」や「始皇帝暗殺」などに主演したコンリー。資産家の奥様から、気丈な女房への変化も興味深い。特に印象に残ったのは、「活きなさい!!」と、息子を事故死させた夫の旧友にかける言葉。辛いことや悲しいことも、「活き」てさえいれば、後に淡々と語れるときが来る?。次回は、彼女の「きれいなおかあさん」を見に行く予定。
●黄金の輝き展
福岡市のアジア美術館で、「黄金の輝き展」が開かれている。中国の歴史的な像、玉石、磁器・陶器、金銀細工、織物など、工芸品、調度品が展示されている。ひとつひとつの展示物の裏にある歴史的背景を感じながら、ゆっくりと流れに沿って歩く。特に、印象に残ったものは一巡して、改めて、そこだけ見直す。今回は、金糸製の飾り箱がよかった。
●映画「きれいなおかあさん」
北京で暮らす聴覚障害の一人息子と母親の物語。闇商売で捕まる。いじめで高価な補聴器が壊れる。タクシー運転手の夫は、子供の障害の重圧に耐え切れず家庭を捨てるが、交通事故死する・・・。いろいろな逆境。家政婦や新聞配達をしながら、息子に辛抱強く言葉を教える母。すべて子供のために・・・。母親の子供に対する愛情と強さが伝わる。気丈さと気弱さを演じる母親役は、コンリー。息子役のガオ・シンは本当の聾者。
第37回 〜 第48回
●儲からない
あるメールマガジンに載っていた駐在員の話。
Mp>今、中国は世界中からビジネスチャンスを求め人が集まっている。特に最も近い国である日本からは、国内不況もあり、「残された最後の巨大市場」である中国に、大企業も中小企業も集まっている。しかし、自分自身がその中に身を投じていて感じるのが、「思ったほど活気がない」と言うことである。中国に活気がないと言っているわけではない。
(何となく)駐在員に活気がないのである。これはなぜであろうか?私は一番の原因は、「中国ビジネスは思うほど儲からない」からだと思う。確かに今の日本、特に製造業は中国なくしてはやっていけない(市場としても生産拠点としても)。しかし、儲からないと言うのが正直なところではないだろうか。(もちろん儲かっているところもあるだろうが)街にはどんどんビルが建ち並び、経済成長率もものすごい。でも、仕事をしていて、なんとも言えない「閉塞感」「不平等感」「未達成感」がぬぐいきれない。で、何となく「疲れる」。本来、これほど発展している国で、こんな事を感じるのはおかしいはずなのだが、私の回りの誰に聞いても同じような感想を持っている。この感じは一体なんだろう?
●どこまで中国に喰われるのか
邱永漢や大前研一などの中国楽観派と異なり、台湾出身で中国の将来に否定的な著者の新作。虚偽の政府統計、偽物や凶悪犯罪の蔓延、外資系企業にたかる政・管・軍の横暴、トラブルが絶えない中国ビジネス、内部の権力闘争・・・。「中国は、バブル崩壊寸前の末期的社会状況だ」と喝破する。都市部の人々の暮らしや街並みの変化を見ている限り、中国の将来は明るい気もするが、彼らの豊かになりたいという拝金主義から生まれでるエネルギーはどこへ向かうのか。敬称略。
●麦客(まいか)
ケ小平の先富起来論(豊かになれる者から、豊かになっていけばいい)で、都市部の発展のみが紹介されがちな中国。その経済発展の波に取り残された出稼ぎ農民たちを描く。河南省は麦刈りの季節。鎌一本で肉体を酷使する「鎌麦客(かままいか)」の収入は、近年増え始めた、コンバインを駆使した「鉄麦客(てつまいか)」の 30分の1。その差は、年々拡大する。コンバインを所有する女性は仕事の請負時は強気だが、自分の学歴のなさから、子供をアメリカ留学させたいと母親の顔も見せる。「貧しい故に差別される。金を稼いで羊を飼い、少しでも豊かになりたい」と言う出稼ぎ農民たちの額の汗が印象的だった。
●石油メジャーへの挑戦
都市化、工業化、近代化が急速に進む中国は、いま国内の石油資源だけでは経済成長を支えきれなくなってきた。生産と消費が逆転したのだ。大慶油田などの国内生産が伸び悩むなか、モータリゼーションを中心とした石油消費量は急激に増大。1980年から2000年にかけて2.6倍になった。93年には輸入国に転じ、その差は広がる一方だ。この石油事情の変化で、中国は海外からの石油の調達が新たな課題となり、国策会社ペトロチャイナ・CNPCにその成否がかかっている。CNPCは、米中の石油需要の高まりと対立を見据えながら、大手欧米石油資本との業務提携や海外資本、技術、マネジメントの導入を模索する。環境汚染、余剰油田労働者の生活不安、中東などの地域紛争などの問題を内包しながら、中国の石油戦略が世界へ影響を与える。
●コンビニ大手、中国に進出
次のような新聞記事を見かけた。
「セブン―イレブン・ジャパンとファミリーマートが来年、中国に進出する。セブンイレブンは北京を皮切りに
5年間で500店を展開。ファミリーマートはまず上海に開業、2010年までに3000店に広げる計画だ。1996年に中国に初出店したローソンと合わせ、コンビニ大手3社が個人消費の急拡大する中国市場の開拓で出そろう」
。
すでに飽和状況の日本市場を踏まえ、コンビニ大手が可能性の大きい中国へ進出する。中国の流通業界の変革、人々の生活の変化に与える影響も大きいだろう。
●胡弓は大河の響き
NHK「世界わが心の旅」。胡弓奏者・楊興新 lang=EN-US>(47歳)は、15年前に来日し、演奏活動を続けてきたが、自分にとっての祖国を見つめ直したいと、故郷・丹東と兄が暮らす上海を訪ねる。文化大革命時代の京劇楽団員たちに再会し、胡弓でトップを目指す娘とその母に自分の子供のころを重ねる。画家の兄は60を超えても、製作の情熱を燃やし続ける。長年温めてきた楊興新の新曲「揚子江」は、今回の帰国で完成に近づいた。
●中国の将来は悲観的か
二冊の本を読んだ。 「現代中国 グローバル化のなかで」 岩波新書、興梠一郎。都市と農村の変貌、政治腐敗、暴力、高齢化、経済格差、社会保障、国有企業、共産党政権など中国の現状と課題がまとめられている。「中国の知られざる正体」日本文芸社、石平は、同様の問題をより悲観的に書き、「中国の崩壊を予言」している。
●21世紀 変貌する中国
「桂林」に続く日中国交正常化30年記念番組。一回目は、スタジオでの討論と映像を通して、経済、歴史認識、人材交流、グローバル化時代の日中関係などを問題提起する。気楽な旅行の向こうにある一歩踏み込んで考えるべき課題を再確認した。「中国とどう向き合うか」「高級人材が帰ってきた」「中国共産党・新たな宣言」「自動車大国への道」の四回シリーズ。
●茶の神様が生きる町
好きなテレビ番組のひとつNHKBS「世界わが心の旅」。お茶の神様といわれる陸羽が書いた茶経の内容を紐解きながら、小川俊楽氏小川流煎茶家元 が杭州と湖州を訪ねる。単に味や香りを楽しむだけでなく、心の安らぎや健康など、昔からお茶は、中国の人たちの生活にとってなくてはならないものだった。この番組を見ていて、また中国へ行きたいという思いが募った。
●王者トヨタ中国へ挑む
テレビ東京系列「ガイアの夜明け」。中国は、いま経済発展によるマイカーブームが到来している。日本で初めて経常利益 1兆円を達成したトヨタが、この中国の巨大市場に進出、本格的な生産・販売活動を始めた。トヨタは10年前、中国生産を拒否した経緯があり、日本の他の自動車メーカーに比べて進出が遅れた。拠点は、天津。中国最大手の自動車メーカー・第一汽車とも提携した。現在は、広州ホンダが日本車でトップシェアを持っているが、トヨタは「改善」を合言葉に、中国人工員の意識を高め、当面10%のシェアを目標にする。
● 80%がウイルス感染
中国のコンピューターは、80%がウイルスに感染したと「チャイナ・デーリー」紙が報じ、パソコンとインターネットの巨大市場の一つがウイルス攻撃にぜい弱なことが明らかになった。 感染したコンピューターの半分が、データのロスやウェブサイトの閲覧障害などの被害を被ったという。中国のコンピューターユーザーの人口比率は低いが、13億人に近い人口を抱える同国のユーザー数は膨大で、今年上半期だけで新規のインターネットユーザーが1200万人増加し、ユーザー総数は4500万人を超えたという。[北京 10日 ロイター]
●「髪留め」を中国語で・・・
女性が使用するばね式の髪留めを中国語で何と言うか、と知人から尋ねられた。彼の会社も中国進出を考えているのだろうか。辞書で調べると、ばねは彈簧竹冠に黄、、くし(櫛)はshuzi ???。結局、カチューシャは髪に挟右側の旁り) と読み、髪留め、ヘアピンというらしい。他にも、 はカラオケ、トラックのkaでもOK。こういった中国語単語をひとつずつ憶えていくことで、中国の生活に少し近づく。
第49回 〜 第60回
● 江主席、引退へ
北京の複数の消息筋によると、来月8日に開幕する中国共産党第16回大会で、江沢民総書記(国家主席、中央軍事委主席)(76)が引退、後任の総書記に党内序列5位の胡錦濤・国家副主席(中央軍事委副主席)(59)が就任する最高首脳人事が固まった。また、朱鎔基首相(74)も来春の全国人民代表大会(全人代=国会)で退任し、温家宝副首相(60)が首相に昇格する人事も内定した。江氏、朱氏は同党大会で政治局常務委員会からも引退する。これにより、党大会後、「胡
―温体制」を軸とする第4世代政権が正式に発足する見通しとなった。
江氏は中央軍事委主席も引退するとの意向を内々に示しているが、最終的な去就についてはなお調整が続く模様だ。江氏が「全面引退」する場合、胡氏が軍事委主席のポストも引き継ぐ見通し。
●満漢全席プロジェクト
延々八時間半に渡る特別番組。西太后が晩年暮らした頤和園で、この日のために選ばれた特級厨師 (シェフ)たち六人が腕を振るう。鮑、海鼠、フカヒレ、燕の巣など、さまざまな最高級の食材を使い、昔の文献に基づいて試行錯誤の重ね、かつての宮廷料理が次々と復元されていく。清の乾隆帝や西太后に食するために、歴史的にどれだけの創意工夫があったのか。
● 映画「漢方の王様(漢方道)」
健康と美容のために歴史を積み重ねてきた漢方薬や針灸などの中国医学。その中国医学を題材にした、この映画に、万里の長城、薬膳料理、朱旭の主演がなかったら、印象はもっと薄くなっていただろう。次回のチャン・イーモー監督作品「至福のとき」に期待しよう。
以下、チラシより抜粋。
日々進化する現代の北京。名漢方医と出会い、長年の持病を治した日本人ビジネスマン。彼は漢方で一儲けしようと、漢方ツアーを企画し、心と体にさまざまな悩みを抱える日本人たちを連れて、中国に行く。インポのやくざ、性同一障害の青年、西太后の美容術に挑むモデル、末期ガンの老人・・・。彼らは万里の長城の麓にある漢方医の家に合宿し、大自然の中で漢方の極意に触れることになる。それは、ただの治療ではなく生きるための知恵と勇気を得る体験だった・・・。
●香港の将来は悲観
香港日本人商工会議所は21日、会員企業を対象に実施した香港の事業環境に対する意識調査結果を発表した。日系企業の間で、将来の環境に対する見方がさらに厳しくなっていることが浮き彫りになった。
香港の事業環境に対する評価は、「5年後の香港」は68%、「10年後の香港」は42%と、調査を開始した97年以来最も低水準となった。世界貿易機関(WTO)加盟による中国経済の開放が進むに従い、香港にとってプラスとの認識が変化し、脅威に感じつつある傾向がうかがわれる。
●2010年万博、上海に決定
モナコの博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)は三日午後(日本時間同日深夜)、総会を開き、2010年の万国博覧会を中国・上海で開くことを決めた。中国にとっては2008年の北京での夏季五輪に続く国際的なイベント開催となり、国威発揚に大きく弾みをつけることになる。上海は「よりよい都市、よりよい生活」をテーマにしている。 ほかに開催地に名乗りを上げたのは韓国の麗水、モスクワ、メキシコのケレタロ、ポーランドのブロツワフの四カ所。万博は2000年のドイツ・ハノーバーに続き、2005年は愛知県での開催が決まっている。lang="EN-US">
●映画「至福のとき(幸福時光)」
大連が舞台。失業や結婚、親子など、現代中国が抱える社会問題を絡ませながら、チャン・イーモー監督が、目の不自由な少女と工場をリストラされた中年男のふれあいを描く。五万人の応募者の中から選ばれたドン・チエは、役作りのために10キロ減量し、ガラスのような透明感のある少女を演じた。彼女のワンピースと笑顔が印象的だった。薄幸な少女にとって、自分に対する思いやりが至福の時・・・。この映画の山場はラストシーン。彼女は、父親に再会できるのだろうか。
チラシより抜粋。
ありがとう。生まれてはじめての笑顔です。近代化が進む中国の都市、大連。継母に邪険にされている盲目の少女ウー・インと工場をリストラされた中年労働者チャオ。辛く厳しいふたりの人生が交錯し、淡くて優しいつかの間の至福のときが訪れる
……。仕事もない、金もない、結婚相手も見つからない、の三拍子揃ったチャオ。お腹の出っ張った中年おじさんは仲間のフーと放置バスを改装し、カップルのための「至福旅館」を始めることに・・原作者は現代中国を代表する作家、莫言。珠玉の短編がいきいきとスクリーンで登場。
●中国からの贈り物
私たちの留学生活」が中国全土でも注目を浴びた。今回は、これらのドキュメントを製作した張麗玲さん自身が主役。彼女は、全く日本語ができないまま、 21歳で来日し、東京学芸大学大学院を卒業。商社に勤めながら撮影を続けた。きれいな女性だと思っていたが、来日前、北京で女優だったことを知った。彼女の行き様が感動を呼ぶのは、目標に向かってひたすら邁進するからだろう。彼女のその姿を見て応援したいと多くの人が思うのも納得できる。
●上海に行ってきます
月末、上海に行く事になった。今度で四回目。空港から市内までリニアモーターが開通、八分で着くという。新天地、徐家匯、正大広場など新しい街にも行ってみたい。時間があれば、博物館や雑技団も・・・・。「上海を制するものが中国を制する」という言葉を耳にしたことがあるが、2010年には万博も開催される上海の、その変貌振り・元気にまた驚かされてみたい。
●上海に行ってきました
上海観光の定番、外灘、豫園、南京東路。時代の最先端を行くリニアモーターカーや浦東の金茂大厦。価格交渉を楽しんだ襄陽服装市場。庶民の食生活を支える太陽市場。旬の上海蟹。ハラハラドキドキの雑技団。客があふれるカルフール、小奇麗になった子供たち、なかなかつかまらないタクシー・・・。春節前の上海は、好奇心を大いに満足させてくれた。次回、訪れる機会があるとしたら、その時、上海そして中国はどのように変わっているのだろう。
●ロバで届ける心の手紙
過酷で孤独な山の郵便配達。このドキュメンタリーは映画よりも感動的だった。30年続けた父の仕事を引き継いで、13年目。二頭のロバに郵便物を乗せ、片道260キロの遠く険しい山岳地帯を1週間かけて歩き続ける。配達の半分は、山賊に襲われる危険性があっても、夜、氷点下であっても、草や水のあるロバに都合のいい場所で野宿。文字の読めない親には手紙を読んでやり、山奥の学校には新しい本を届ける。「手紙は金では買えない宝物。自分の命よりも思い貴重なもの。人々のためと思えば、苦しくても辛くても、幸福だ。誰かがこの道を行かなくてはならない、人々が待っているのだから・・・」。一言一言が印象的だ。人々の絆を結ぶ喜びを胸に、彼は今日も手紙を届け続ける。
●映画「草ぶきの学校(草房子)」
年代初頭、太湖のほとりの小学校。その校長の息子が昔を回想する形で、この映画は展開する。転校してきた陰のある少女、いじめられる禿げ頭の少年、親が破産し学校に行けなくなった少年、悲恋の教師、息子の奇病を治すために転々と医者周りをする校長・・・。拝金主義、進学競争、一人っ子政策で甘やかされる小皇帝などの現代中国では、農村の自然、ゆったりとした竹笛、無邪気で純粋な子供たち、親子の絆は過去のものになったのか。草ぶきの屋根から主人公が小便をするラストシーンは、少し泣かせる。次回は「小さな中国のお針子」を見に行く予定。
●ウイグル自治区で大地震
ネットで、次のような投稿を見かけた一部略。
2月24日ウルムチ時間朝8時3分にウイグル自治区のカシュガル地区ペイズワット県の東の大きなオアシスで6.8級の地震があって10個の村のすべての家が倒壊してしまいました。その周りでも地震が続いています。25日もカシュガル市まで2回地震がありました。265人が遭難、1000人以上が重傷、1000軒の家が倒壊したと北京のテレビなどが言っていますが、実は2057人が重傷、5千人以上が負傷、5万軒の家が倒壊されています。家畜が1万頭以上死んでいます。震源地の近くのある学校の中学生は授業中なので全員遭難してしまいました。ある病院も倒壊し、患者、看護婦、医者などが殆ど遭難してしまいました。6万人以上が住まいを失い困っています。
気になったのは、地震の影響だけでなく、実情を過小に報道していること。このようなことは、中国全体で行われているのか。
第61回 〜 第72回
●SARS、北京の日系企業で感染
香港や広東省など、大陸南部に感染者が多いと聞いていたが、北京でも見つかったというニュース。観光だけでなく、ビジネスや日常生活などへの影響も懸念される。
「NTTデータの中国法人で、ソフトウエア開発の北京NTTデータ(北京市)の中国人社員が新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)に感染し入院していることが9日明らかになった。同社は同じビルに入居している他の日系企業2社とも協議し、社員を自宅待機させる措置をとった。SARSの感染で日系企業の業務に支障が出たのは初めて。」
●中国でSARSが大流行する可能性
SARS(サーズ)のニュースが増えてきた。
ゴールデンウィークの短縮と、感染者数の隠蔽による幹部の更迭、学校や病院の封鎖・・・。
中国関連の掲示板では、日々、悪化する現地の情況が伝わってくる。
それだけ、SARSの与える社会的影響は大きいが、今後、どのように展開していくのか。全土に広がっていくのか。
北京出身の知人から、次のようなメールが届いた。
「北京のSARSはとても深刻な状態で、街中、この話題ばかりとなり、緊張気味。また5月の中旬がピークとの噂。長春でも患者が発見され、義父が入院している病院にも9人いるらしい。中国政府が真実を隠す為、国民が犠牲者となり、もし同じようなことが日本で起こったら、国民が国を訴えるでしょうね。」
北京駅や北京空港は、首都脱出組で大混雑という報道も・・・・。
経済発展の中の試練。好事魔多し。
●揺れる中国人材戦争
経済発展の華々しい側面ばかりが伝えられる今日の中国。しかし、その繁栄の裏側で、約二千万人とも言われる失業者たちが、生活の不安を抱え、人材市場にあふれている。国営企業の倒産やリストラで職を失った中高年たちは、経済発展の犠牲者か。一方、一流大学卒の若いエリートたちに対する人材獲得競争も活発化している。
社会主義市場経済・改革開放で、いまや日本以上の学歴社会・熾烈な競争社会になった中国。人材の差が人生の明暗を分け、貧富の差がさらに拡大していく。
●北京で黄砂が発生していない理由
北京では春の訪れとともに、深刻な黄砂の問題に悩まされてきた。特に、去年の黄砂は、ひどかった。
しかし、過去
3年連続で北京を襲った黄砂は、今シーズンはまだ観測されていないらしい。
気象専門家によると、それは、次の理由からだそうだ。
北京の降水量は、5月から増加し始めた。その結果、さまざまな植物が急速に成長し、広い範囲で地表が植物で覆われ、黄砂の発生が抑えられた。
5月以降も黄砂が発生することはほとんどないとのことだが、その代わり、今年の北京は、SARSに悩まされている。
●SARSで外食産業不振、マック28%減
『中新網』10日付報道によれば、北京市統計局が発表した最新データで、今年4月の北京市における外食産業が不振、小売額が2000年以来初めて下降していることが明らかになった。新型肺炎SARSの影響もあって、北京市民の外出が極端に減少したこと、海外旅行客も大きく減少していることが要因とみられている。
マクドナルドは前年同期比同27.5%減。このほか北京ダックで有名な全聚徳では実に51.8%の減少となった。また順峰飲食、黎昌海鮮大世界、東安飲食でそれぞれ32.5%減、54.9%減、36.4%減となっており、SARSの影響をもろに受ける形となっている。
●中国の二つの大河は今・・・
(1)世界最大級のダムが始動 。 8月には発電開始中国が長江(揚子江)中流の湖北省宜昌市三斗坪に建設を進めている世界最大級の三峡ダムで1日、貯水が始まりダムが正式に始動した。8月にダムは一部発電を開始、上海など中国東部や南部に送電する。(共同通信)黄河:危機的な渇水、水資源不足の深刻さ物語る今年1月から7月まで、黄河の水量は81億立方メートル程度とされ、これは例年のわずか50%前後であるという。陜西省北部の黄土高原における黄河とその支流は、ほとんど水がない状態が続く。中国ばかりでなく世界的な大河である黄河の状況は益々悪化している。(中新網)
●崩壊の危機にさらされる万里の長城
中国英字紙チャイナ・デーリーは、紀元前の中国・春秋戦国時代に建造が始まったとされる世界文化遺産、万里の長城(全長約6300キロ)が、農民がれんがをはがすなどしたために損壊が進み、半分以上消失したと伝えた。
調査によると、完全に残っている長城は2割未満、一部損壊しているのが約3割で、残存部分は合わせて2500キロ程度で残りは消失した。18年前の調査では全長の約3分の1が消失していたが、消失範囲はさらに拡大した。
長城は、日本人観光客にもなじみがある北京市郊外の八達嶺などが知られているが、破壊は観光地化していない地区で進んでいる。近くに住む農民が長城のれんがを民家や家畜小屋、道路建設の資材にするためはがして持ち去るのが主な原因。河北省北部では、1000メートル以上にわたり根こそぎ消失した長城跡もあった。れんがはトラクター1台分が15元(約220円)で売買されていたという。
●日本人の中国観光ビザ不要に
日中関係筋が3日までに明らかにしたところによると、中国政府は日本人観光客らに対し、短期間のビザ(査証)なし渡航を認める方針を決定した。同筋によれば、ビザ免除の実施は早ければ今秋になる予定。対象となる中国滞在期間は15日以内で、観光目的のほか、商用目的も認める予定。
中国側は、日中平和友好条約締結25周年を契機にこうした措置を実施することで、対日重視の姿勢を改めて示す意向。また、新型肺炎の影響で海外からの観光客が激減しており、昨年は約300万人の日本人旅行者を受け入れた観光業の回復を狙う。
●「大地の子」再放送
中国残留孤児をテーマにした「大地の子」が再放送された。
内蒙古の大草原、万里の長城、上海製鉄所建設現場などでの壮大なスケールのロケ、そして、兄と妹の再会、朱旭、蒋文麗、仲代達矢ほか多彩な日中の俳優たち上川隆也の中国語・・・。
低俗なバラエティや再放送でお茶を濁す傾向が強いテレビ番組の中にあって、このドラマは、何回見ても感動的で、秀逸な作品のひとつに違いない。
●上海三泊四日33300円
友人から、上海の格安パック旅行を入手したので、同行してくれないか、と電話がかかってきた。彼は、中国初心者。行程は、1日が現地ガイドによる指定された観光、他は自由行動の三泊四日。ホテルは四つ星の食事付き、航空会社はJAL。これで、料金が33300円。友人は、仕事の関係もあり、針灸の情報を仕入れたいらしい。季節もいいし、さて、どうしようか。
後日談。
友人と旅行会社に手続きに行った。パーテンションで仕切られたテーブルで担当者の説明を聞く。余りにも簡単だったので、行程について少し質問してたみた。担当者が「しばらくお待ちください」と言って、席をはずし、しばらくして戻ってきた。回答を聞き、「では、この部分はどうなっているのか」と聞くと、再び「しばらくお待ちください」と言って席をはずした。多分、企画元に確認しているのだろう。
そうこうしているうちに、友人の携帯に電話がかかってきた。どうしたのか、と聞くと、今回の旅行を紹介してくれた知人からの電話で、「何かいろいろ言っているようだが、余り無理難題は言わないように、格安なのだから。今回はファミリーパックで、いわば身内のための企画。ごちゃごちゃ言うようなら、旅行に行ってもらわなくてもいい」というニュアンスで部長に言われたとのこと。この料金で普通は行けないのは確かだが、こちらは単に質問しているだけなのに・・・。
電話を切った後、友人が怒り出した。担当者に電話がかかってきた経緯を説明し、部長を呼べ、と言った。担当者は恐縮し、「申し訳ありません」と繰り返していたが、友人が、どうしても部長を呼べ、と言うのでやむなく席を離れた。少しして、部長が来て、名刺を出そうとしたが、友人は要らないと言い、「何故、知人に電話したのか。言いたいことがあるなら、直接、ここに来て言わないのか。」「一般のお客様なら、もちろん、お尋ねに対してはお答えしますが、今回は社内関係者の特別価格なので・・・・」。まるで、「大変安くしてやっているので、何も聞くな」という感じ。
慇懃無礼な態度に、肩書きだけで生きてきたかに見えるサラリーマンの驕りと悲哀を感じた。友人の話によると、同様の社内優遇価格の一例は、福岡・新潟が航空券、ホテル、食事付きで、なんと15000円。社内優遇制度とはいえ、部長はサービス業の本質を勘違いしているのではないか。
●上海へ行ってきました
まともに行くと、航空運賃、宿泊費、車付きガイド料、食事代などで合計10万円近くはしたのではないか。それが、今回は、33000円余り。今年、2月に来たばかりということもあって、とりたてて新しい印象はなかったが、上海は着実に発展している。上海的変化很大!
●中国、久しぶりの黄金週間
中国は1日、建国54周年の国慶節を迎え、1週間の黄金週間(ゴールデンウイーク)に入った。5月の連休が新型肺炎(SARS)の影響でつぶれたため、久しぶりの長期休暇。旅行ブームが戻り、大きな損失を受けた観光業界にも明るさが戻った。
孫文の肖像画の脇に「慶祝54周年」の大きな看板が立てられた秋晴れの北京の天安門広場は、昼すぎには足の踏み場もないほどの人込み。
連休前半の長距離列車や飛行機のチケットは売り切れ続出。空の便は7日間で昨年より14%増の2700の臨時便が飛ぶ。新疆ウイグル自治区やチベット自治区への旅行が人気で、日本への旅行者も増えている。(共同通信)
第73回 〜 第84回
●瀋陽で、日本人誘拐
「瀋陽で66歳の日本人元商社マンが誘拐されたが、無事保護され、身代金510万を要求していた犯人の中国人三人も身柄を拘束された。日本人の関与も考えられる」というニュース。
広東省珠海市での日本人団体旅行客による集団買春事件が日中間で物議をかもしているが、今回の事件は新たな話題を提供するのか、日本人の一人旅に水を差すのか。
●中国IT産業と成人サイトの危険な関係
次のようなニュースをみかけた。成人サイトは、資本主義社会のひとつの象徴か。共産主義を建前とする中国政府は規制を強化するかも知れない。
急速に発展する中国IT産業の影で、インターネットを利用した成人向け情報のはんらんが問題化している。全面的な管理が困難な上、広告に代わる新たな収入源を確保したい大手ポータルサイトの思惑と合致。ショート・メッセージ・サービス(SMS)など有料コンテンツの「看板」ともなっており、青少年保護のための対策強化を求める声が高まっている。
ネットのアダルトコンテンツは、小説、画像、動画などから、売春あっせん情報まで多種多様だ。ある通信販売のサイトでは、日本や欧米の成人向けDVDソフトを、パッケージの写真を掲載しながら堂々と販売。「娯楽情報」と称して、全国各地の夜の遊び場を詳細に紹介しているサイトもある。
こうしたコンテンツは専門サイトだけでなく、大手ポータルサイトの中でもヒット数を確実に増やす「看板」として見受けられる。トップページには「性教育」「人体芸術」「最新ファッション」などに名を借りた過激な画像が踊り、一部の掲示板は「大人の出会いの場」を提供。ニュース専門サイトを見ても、タブロイド記事の刺激的なタイトルが並んでいる。書籍や映像出版物に対し厳重な検閲が行われている中国にあって、管理の緩いネットの世界では、抑圧された欲求が解き放たれているかのようだ。
●学校へ行きたい
貧しいがゆえ、進学を諦める子供のけなげさと親の無念さを感じさせる番組だった。
中国の黄河中流域に広がる黄土高原。ここは中華文明の発祥地として知られるが、旱魃や交通の便が悪いため、現在中国で最も発展が遅れている。番組では、この陜西省・石頭溝のヤオトン小学校を中心に、過酷な環境のなかで勉強に励む子どもたちの姿、これを支える家族や先生たちの努力と熱意が描き出される。
小学校まで片道2時間かけて通学するが、中学や高校は遠くの町で寄宿しなければならない。ある家族の年収は、500元。中学に進学するためには、初年度1000元 (入学費300元、寄宿費700元)がかかる。貧しさから脱するためにも、勉強を続けたいと強く望んでも、ほとんどの子供は進学を諦めざるを得ないのだ。
経済発展が注目される沿岸部だけではなく、ここにも「中国の現実」がある。
(BSプライムタイム アジアに生きる子供たち - 学校に行きたい - 中国黄土高原・少女の願い)
●ニシキヘビ皮使用の中国楽器「二胡」、空港で押収急増
人気グループ「女子十二楽坊」のメーン楽器として注目されている中国の古典楽器「二胡(にこ)」を国内に持ち込もうとして、国際空港で押収されるケースが急増していることが1日、わかった。絶滅の恐れがある野生動物を保護する「ワシントン条約」で輸出入が禁止されているニシキヘビの皮を使っているためで、国内に持ち込むには、中国政府が発行する「輸出入許可証明書」が必要になる。(
●北京酷暑、エアコン利用急増
本格的な夏場を控え、中国の電力供給がピンチに陥っている。慢性的な電力不足の中、今年は北京で六月に入って気温が四〇度前後まで上がる日が続くなど酷暑が例年より早く到来。産業用に加え、家庭でのエアコン利用も沸騰し、今夏のピーク時の不足電力は過去最大の三千万キロワットに達する見込み。経済発展の持続に向け、中国政府は一段とエネルギー政策の見直しを迫られそうだ。
昨年の発電量・消費電力量は約1兆9千億キロワット時で、米国に次ぎ世界2位。石炭を主とした火力が83%、水力は15%、原子力は2%弱。石炭への過度の依存が炭鉱事故多発の一因。31の省・直轄市・自治区のうち、電力供給を制限した地域は02年12地域、03年22地域と年々増加、冬場でも電力不足が続いている。原発は浙江、広東両省で9基が稼働中。20年までに30基前後を増設する計画を進めているが、その時点でも原発が発電量に占める割合は1割以下にとどまる見通し。
●携帯電話利用 中国で3億人
中国情報産業省は二十一日、中国本土の携帯電話ユーザーが今年五月末現在、三億五十五万九千人に達した、と発表した。二〇〇二年十一月に二億人を超えて以来、わずか一年半で一億人増という驚異的な普及ぶり。高度経済成長を背景にした生活水準の向上がくっきりと裏付けられた。中国の携帯利用者は一九八七年の普及当初、わずか七百人余りしかいなかった。十年後の一九九七年に一千万人に達して以降、急速に普及し、二〇〇一年三月に一億人を超え、世界一の普及国に成長。その後もさらに利用者が増え続けている。
固定電話加入者も五月末現在、二億九千四十万一千人と大台の一歩手前まで増加。うち、農村地域(全人口の六割が居住)が占める割合が三割を超え、通信面の地域格差は是正されつつある。
●さよなら、悪名高き北京の公衆トイレ
2008年の五輪を控え、都市再開発が進む北京で、不衛生さで悪名の高い公衆便所の撤去が進んでいる。個室や仕切りが無い「ニーハオ・トイレ」は、北京の伝統的な町並みと共に姿を消すことになりそうだ。
北京の公衆便所は、1990年代末から施設の改善が行われてきたが、汚いため、急用でも使用をためらう外国人旅行客は少なくない。壁や仕切りがないため隣の人と顔を合わせてあいさつしてしまうことから、「ニーハオ・トイレ」と俗称され、衝撃的な「トイレ体験」は、今でも中国旅行者の土産話の筆頭格だ。
市内の公衆便所は現在約7700あり、このうち3分の1が家にトイレのない北京の伝統的な平屋街にある。市は地域の再開発に合わせ、五輪開催の2008年までに2800の公衆便所を取り壊す予定だ。
一方、町中のトイレ不足は深刻で、市は「徒歩で8分以内にたどりつける」ことを目標に施設充実に力を入れる。年内に計400の公衆便所を新設・改修する予定で、市民が集まる繁華街や公園などには、絵画や生け花を飾ったり、虫の姿をかたどるなど趣向を凝らしたトイレも誕生している。
●来日の中国人観光客、次々と失跡
北京の日本大使館によると、遼寧省の観光客37団体908人中、14人が消えた。天津市の団体からも1人がいなくなった。上海総領事館が取り扱ったケースでも数人が失跡した。
同大使館は、問題のあった旅行社7社を厳重注意処分とした。1社については、ビザ申請の受け付けを1か月停止した。この社のツアーでは、日本到着直後、ホテルから観光に出る前に女性5人が姿を消していた。
中国人団体観光客に対する日本観光ビザの発給対象は、従来、北京市、上海市、広東省だけだった。今年9月からは、遼寧省や天津市など4省1市が新たに対象に加わった。
●未払い賃金騒動
広東省・広州市で、ある工場の労働者25人が賃金に関する協議を進めている時に、30人あまりが乱入、こん棒などで労働者を殴打した事件で、中国の温家宝・首相が異例の指示を発し、事件の早期解決を命じた。
この事件は2日、同市南洲路のある工場で発生した惨劇。死者は出なかったが、こん棒で殴られたり、消火器を発射されたりで、重傷者多数。賃金の未払い問題などを含めて、中国全土では、こうした労働者の賃金をめぐる悪質な事件が多発している。
●約50人乗り旅客機墜落
新華社電によると、中国北部の内モンゴル自治区包頭市で21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、小型旅客機が包頭空港を離陸直後に市内の湖に墜落、炎上した。乗客乗員50人余りが乗っていたもよう。安否は不明だが、新華社電は生存の可能性は低いとしている。
旅客機は上海行きで、中国東方航空機とみられる。 北京の日本大使館によると、日本人が乗っていたとの情報はない。
●高倉健、イーモウ監督の中国映画に主演
次回作が注目されていた俳優高倉健(
73)が、「初恋のきた道」「HERO」などで知られる巨匠チャン・イーモウ監督(54)の中国映画「単騎千里を走る」(原題『千里走単騎』、日本公開未定)に主演することが22日、分かった。映画出演は、01年「ホタル」以来3年ぶり204本目。既に19日に中国雲南省麗江市でクランクインしており、約3カ月間、中国ロケを行い、来年2月には日本でも撮影が行われる予定。
高倉とイーモウ監督は、約5年前から交流を深め、いつか2人で映画をつくりたいと語り合っていた。イーモウ監督が新作の主演に高倉を熱望し、出演が決まった。同作はイーモウ監督原案で、舞台は現代の中国。高倉演じる日本人男性が、息子とその嫁との関係に悩む中、中国で出会った人々との交流の中で家族を見つめ直すヒューマンドラマだ。息子役は明らかになっていない。
第85回 〜 第96回
●中国進出の中小企業、8割が売り上げ増
中小企業金融公庫は1日、中国に現地法人を持つ取引先企業を対象にした実態調査を発表した。それによると、前期に比べ売上高が増えた企業の割合は80%と前回調査(2003年8月)の44%に比べ大幅に増えた。利益が増えた企業の割合も63%と前回(50%)に比べ増加した。
売り上げが増えた理由として既存製品の受注増加や、新規販売先の獲得を挙げる企業が多かった。今後の課題については「仕入れ価格の上昇」と回答した企業が33%と前回(14%)に比べ増えた。調査は8月に1016社を対象に実施、418社から回答を得た。
●「中国に親しみ」最低の37%
内閣府は18日、今年の「外交に関する世論調査」結果を発表した。中国に「親しみを感じる」と答えた人は前年より10・3ポイント減の37・6%で、同様の調査を始めた1978年以来、最低となった。「親しみを感じない」は同10・2ポイント増の58・2%に上った。
内閣府は「ガス田や靖国参拝問題に加え、サッカーのアジアカップで日本チームを必要以上に敵視した中国国民の対応ぶりなどが影響しているのではないか」と分析している。一方、韓国への親近感は「韓流ブーム」などの影響で前年比1・7ポイント増の56・7%となり、過去最高を更新した。
この調査は今年10月、全国の20歳以上の男女3000人に行われた。回答率は68・9%。
日中関係が良好だと思う人は28・1%で、前年の46・9%から18・8ポイント減少した。天安門事件の影響などで前年比16・2ポイント減だった1989年を超え、過去最大の下げ幅となった。良好だと思わない人は61%で18・1ポイント増加。過去2回の調査では「良好」の方が多かったが、3年ぶりに逆転した。
(読売新聞)
●中国当局「知識人礼賛許さぬ」
中国の胡錦濤政権が、真正面からの体制批判を公にするのもためらわない行動的な知識人、「公共知識分子」をスター扱いし、その言論をメディアが大きく扱う風潮を批判するキャンペーンに乗り出した。南方日報系の中国誌「人物週刊」が9月に「中国に影響を与える公共知識分子50人」を選んだことがきっかけで、これらの知識人の言論を礼賛することが、無制限の政権攻撃につながりかねないとの危機感を反映したものだ。
上海市共産党委員会機関紙「解放日報」は11月15日、「『公共知識分子』という概念の実質は、知識分子と党、大衆との関係を離間させるものだ。知識分子は労働者階級と大衆の一部であり、党の指導下にある」との論文を掲載し、「『公共知識分子』は独立したオピニオンリーダー」との見方を厳しく非難した。「公共知識分子」がもてはやされる背景には、市場経済化に伴い、知識人が民間シンクタンクを立ち上げるなど、言論活動をビジネス化する例が増えているという状況がある。大学教員としての本業よりも副業の収入が多い知識人も出てきた。一方、メディア側にも、大衆受けする知識人をスター扱いすることで、新聞や雑誌の売れ行きが良くなるとの計算もある。共産党筋は、言論統制キャンペーンについて、「農民らの暴動が相次ぎ、社会不安への懸念が強まっている時だけに、知識人とメディアに、これ以上の勝手な言論は許さないという警告を発したものだ」と強調する。
●頤和園で大規模修繕工事、06年完了目指す
北京市内にある清代からの名園、頤和園(いわえん)のシンボルとなっている仏香閣(写真奥の建物)の周辺で、修繕工事が進んでいる。修繕面積は6800平方メートルあまりで、費用は約5000万元。2006年末の完了を目指している。31日付で中国新聞社が伝えた。頤和園は1750年に建造が開始された清朝の離宮のひとつ。1860年に英仏連合軍に、1900年には八国連合軍(独・日・露・英・米・仏・伊・オーストリア)によって破壊されたが修復され、現在は公園として北京市民や観光客に親しまれている。1998年には世界遺産にも登録された。
●アサヒビール:歴史問題で不買運動
アサヒビールの名誉顧問を務める中条高徳氏が、「新しい歴史教科書をつくる会」の会報に「靖国神社を参拝しない政治家に、政治にあたる資格はない」という趣旨の文章を発表したなどとして、中国東北部の吉林(きつりん)省・長春(ちょうしゅん)市を中心にアサヒビールの非買運動が起こっていることが、30日付で伝えられた。
この動きに対し、アサヒビールの常務執行役員で中国総代表を務める大澤正彦氏は、「アサヒビールは、これまで『新しい歴史教科書をつくる会』に資金提供などの援助を行ったことはない。問題とされているのは純粋に、中条氏個人の発言だ。アサヒビールはとしては、まったく知らないことだ」と主張。また、中条氏の発言に対して、「非常に残念だ」と述べた。31日付で京華時報が伝えた。
中国では、長春市でアサヒビールの不買運動が起こっていることが伝えられたが、不買運動は北京市にも広がりをみせている。さらに、アサヒビールと提携関係にある某有名企業の責任者は、「アサヒビールとは投資で提携しているだけ。ひた隠しに隠そうとする態度をみれば、今回の事件が原因で売り上げに影響することを恐れていることが分かる」などと批判したとのこと。
●日本の常任理入り反対デモ
中国広東省深セン市で3日、日本の国連安保理常任理事国入りに反対する民間団体が集会を開き、参加者が日系スーパーの看板などを壊す騒ぎに発展した。歴史教科書問題も絡み、中国各地で日本製品の不買や撤去の動きが出始めているが、一連の反日抗議行動の中では最大規模とみられる。
集会を主催したのは、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有を主張する「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」など5団体。市中心部で約2000人が集まり、日本の常任理事国入りに反対する署名活動を行った後、二手に分かれて市内をデモ行進した。
日系のスーパーなどが入るショッピングセンターに到着した約1000人の参加者は「日本製品ボイコット」などと叫び、一部の参加者は案内板や休憩コーナーのパラソルを壊した。武装した警官隊も出動し、「売国奴を打倒せよ」と気勢を上げる参加者とにらみ合う一幕もあった。
デモに参加した20歳代の男性は「歴史を反省しない日本に、常任理事国になる資格はない」と話した。
●ドメイン数50万件突破、世界最速で増加
中国のドメイン管理機関である中国ネットワークインフォメーションセンターによると、今年3月末時点で、CNドメイン数が50万件の大台を突破。ここ3カ月で新規ドメイン登録数は8万件近くに達している。
3月の単月ベースでの新規ドメイン登録数はおよそ5万件。2004年上半期(1?6月)の増加分に相当し、全世界で最も早いスピードで増えている。
CNNICの関係者は、2月に登録費用を大幅に引き下げたことが、登録数の大幅増加につながったのだろうとしている。
●在オーストラリア中国領事が亡命申請
在シドニー中国総領事館の陳永林・領事(37)がオーストラリアに政治亡命を求めていたことが4日、明らかになった。陳氏はシドニー市内で同日開かれた天安門事件16周年の抗議集会に参加し中国の抑圧体制を厳しく批判、中国当局は豪州の反体制派中国人を拉致して帰国させていたと
lang=EN-US>“爆弾発言”した。
陳氏は総領事館で過去4年間、中国の反体制派や気功集団「法輪功」の動向を監視する任務に付いていた。しかし、民主化を拒み反体制派への弾圧を続ける中国政府をこれ以上支持できないとして先月末、総領事館を脱出し、妻(38)と娘(6)の家族3人の亡命を豪州政府に申請。亡命は拒否されたが、中国当局の追跡を受け、身の危険を感じ、代わりに豪州政府の安全確保を求めて保護ビザを申請したという。
陳氏は集会で、中国当局が豪州に留学中だった民主活動家の息子に薬を飲ませて拉致し、貨物船で中国に送還したことがあると発言。豪州には中国の秘密情報員らが何千人もいるとも述べた。
豪州紙によると、陳氏は89年に起きた北京の天安門事件で民主化を求めるデモに参加。その後“再教育”を受けて91年に外務省に入ったが、在シドニー総領事館勤務中に反体制派を監視する任務の傍ら、ひそかに支援を続けていたという。
●Webサイトとブログを登録制に
国境なき記者団は6月6日、中国政府は正式登録されていない国内のWebサイトとブログを閉鎖させるつもりだとして警鐘を鳴らした。同国政府はリアルタイムでサイトを監視し、非登録サイトを特定する新システムを有していることも明らかにしたという。
同団体によると、中国情報産業部は3月に、同国に本拠を置くWebサイトはすべて、6月30日までに登録し、サイト責任者の完全な身元情報を提出しなくてはならないと通達した。「国家を危険にさらす」情報を規制することが目的だという。
公式発表によれば、中国のサイトの約75%が登録済みという。ロシアのInterfax通信が報じたところでは、中国政府はその後、非登録サイトを特定して遮断する「Night
Crawler」と呼ばれる新システムを6月立ち上げに向けて開発していることを明らかにした。
中国のニュースポータルをホスティングする通信企業は政府の依頼を受け、利用者に登録義務を通達、5月には多くのブロガーが登録を指示する電子メールを受け取ったという。
国境なき記者団は声明文の中で次のように述べている。「中国当局は、特に率直な発言をするサイトを国外に追い出したいのだ。そうすればフィルタリングで中国からそれらサイトへのアクセスを遮断できる。国内で実名の下でサイトを続ける人々は、政治の話題を避けるか、中国共産党のプロパガンダを流さざるを得なくなってしまう。今回の決定は権力者によるオンラインのニュースと情報の効果的な統制を可能にする」
●天安門16年、今でも神経質な中国政府
民主化を求める学生らを武力で鎮圧した天安門事件(1989年6月)から16年を迎えた4日、天安門広場はいつものように観光客でにぎわった。しかし、広場の中を警察車両数台が巡回し、武装警察の待機用のバス3台が停車するなど、抗議活動など不測の事態に備えて警備を強化していた。
天安門事件で学生らに理解を示し、失脚した趙紫陽元総書記が今年1月17日に死去し、初めての記念日となった。趙氏が軟禁されていた北京市内の自宅付近は、特に警備が強化されることはなかったが、カメラマンが写真を撮った途端に公安関係者や武装警察が集まってきた。天安門事件の再評価を求める声は根強く、中国政府は今も神経質になっているようだ。
●外国アニメ放映禁止へ
中国政府は全国のテレビ局でゴールデン・タイム(午後五−九時)に日本など外国製アニメを放映することを禁止する見通しだと、九日付の香港紙「東方日報」やAP通信が伝えた。国産アニメの保護育成が目的のようだが、最も人気の高い日本作品の締め出しにつながりかねない、という。
中国では、二〇〇〇年から各局が放映するアニメ作品は六割以上を国産とし、外国作品は四割以下とすることを義務づけているが、中国中央テレビ(CCTV)を除く大半のテレビ局でこの規定が守られず、当局が強制措置に踏み切ることになった。
背景には、米国のディズニーや日本のアニメが子供たちに人気があり、特に日本のアニメでは、「名探偵コナン」「ウルトラマン」「ちびまる子ちゃん」「キャプテン翼」「超魔神英雄伝ワタル」などを都市部の小学生のほとんどが視聴しているともいわれる。
中国で日本アニメや漫画の評価は最も高く、中国社会科学院などの調査でも、「ドラえもん」が「最もユーモアがある」読み物として選ばれたことがある。
中国政府は、子供が外国文化、特に西側世界の影響を受けすぎることを懸念し防ぐ一方、国産アニメの育成に力を入れてきた。
強制措置の背景にはアニメ産業の育成の狙いもありそうだ。
ゴールデン・タイムでの外国アニメ作品の放映禁止措置は年内にもとられそうだが、注目されるのはアニメキャラクターの関連グッズの販売も制限されるかどうかだ。放映禁止措置の背景に国内産業育成があるとすれば関連商品の規制の可能性も十分にあり、世界貿易機関(WTO)協定違反となる疑いも出てきそうだ。
●深刻、汚水・水不足
中国の発展に影を落とす水不足問題を解決する切り札と期待されていた国家水利プロジェクト「南水北調」(長江の水を運河で華北に運ぶ)が「汚水北調」(汚水を華北に運ぶ)となる−。そんな懸念が今、表面化しはじめている。巨額の資金を投じ遠路運ばれた汚水は二〇一〇年には北京市で使用されはじめるが、汚水を高い費用で買わされる、との不安も市民の間に浮上、専門家の間では失敗説も流れている。中国では農村部を中心に少なくとも三億人が飲料水に困り、全国の三分の二にあたる四百都市が慢性的な水不足に悩む。水問題が今後も中国の最大のネックであり続けることは間違いなく、中国の水利政策は発想の転換に迫られているといえそうだ。
第97回 〜 第108回
●万博観光の中国人2人不明 山梨の温泉に宿泊後
愛知万博(愛・地球博)の観光が組み込まれた団体旅行で来日した中国人男性2人が、行程中に失踪(しっそう)し、帰国予定日の29日になっても行方不明になっていることが分かった。不法滞在になる恐れがあり、旅行会社側から相談を受けた愛知県警が警戒している。
県警によると、2人は33歳と27歳で江蘇省出身。中国の旅行会社が上海市で募集したツアーで24日に来日し、山梨県の石和温泉の旅館に宿泊後の27日朝、いなくなっているのが分かった。
2人の観光ビザの期限は7月9日で、旅券は旅行会社側に預けたままだったという。一行は、27日に万博会場を訪れる予定だった。
●来日中国人の失踪急増 1−5月、44人 ビザ拡大控え対策急務
今年一月から五月までの五カ月間に来日した中国人団体観光客の失踪(しっそう)者が四十四人に上ることが十日、国土交通省の調べで分かった。昨年同時期の二十八人を上回るハイペースだ。北側一雄国土交通相は七月初めにも訪中し、三市五省に限定している中国人団体旅行客の査証(ビザ)発給対象地域を全土に拡大する方針を中国側に伝える考えだが、治安当局は「ビザ発給地域の拡大が不法滞在者をさらに増大させる可能性がある」(警察庁幹部)と対応策の検討を迫られている。
現在、中国人へのビザ発給は北京、上海、天津の三市と広東、遼寧、山東など五省に居住し、旅行代理店を通じた団体旅行客に限定している。
こうした中、今年一月から五月までの五カ月間で、日中両国の旅行代理店(約三百五十社)を通じてビザを取得し、日本国内で行方不明になった中国人は、国交省が追跡調査を行った結果、計四十四人に上ることが判明した。特に、愛知万博が始まった三月から五月末までの三カ月間だけで二十五人と、十三人だった昨年同時期の約二倍となった。
不法滞在が目的とみられる中国人の失踪者件数は、平成十二年は五人だったが、十四年には百五十四人を記録。その後、十五年が百二十七人、十六年は九十二人と減少に転じ、政府の旅行代理店に対する失踪者防止の行政指導が奏功したとみられていた。
政府は現在、旅行代理店に対し、数カ月間で五人の客が日本滞在中に行方不明になると一カ月間の取り扱い停止処分を科し、十人以上の場合は一年間の取り扱い停止処分としている。
だが、「今年は昨年に比べ失踪ペースが速い」(国交省筋)うえ、七月にも予定されているビザ発給地域の拡大で、失踪者がさらに増大する懸念が浮上している。政府は今後、旅行代理店にさらに厳しいペナルティーを科したり、観光客の身元把握を徹底するなどして、失踪した不法滞在者を減らすための治安対策を強化する方針だ。
政府がビザ発給の全土拡大に前向きなのは、外国人観光客を増やす「ビジットジャパン・キャンペーン」を実施中で、十六年に六百十四万人だった旅行者を十七年には七百万人にするとの目標を掲げているためだ。韓国と台湾の観光客については万博期間中のビザの免除を実施している。
●中国・安徽省 1万人の群衆暴徒化 派出所破壊、スーパー襲撃
中国中部の安徽省池州市で二十六日、一万人の群衆が交通事故をきっかけに暴徒化し、パトカーや派出所を破壊したほかスーパーを襲撃する騒ぎとなった。鎮圧に出動した武装警察隊員六人が負傷、警備当局は首謀者として参加者十人を拘束した。
中国国内では、地方住民が警備当局と衝突する大規模な事件がこのところ相次ぎ発生。今回の事件も、ささいなきっかけで騒乱に発展する中国社会の不安定ぶりを示すものとなった。 地元紙「池州日報」などによると、きっかけは乗用車が歩行者をはねたうえ、被害者が運転手から暴行されたことだった。市民の通報で警官が派出所に運転手を連行したが、群衆が派出所を取り囲み、人数は一万人近くに膨れ上がった。 このうちの「少数の不法分子による扇動」で群衆が騒ぎ始め、乗用車をひっくり返したほか、パトカーや消防車にも襲いかかり、派出所にも放火した。近くのスーパーも襲撃され、商品が略奪される事態となった。 地元当局は事態の拡大を重視、市幹部の緊急会議を開催。交通事故発生から九時間後に武装警察部隊約七百人を出動させてようやく鎮圧した。これまでのところ、騒ぎの理由に関する住民側の情報は伝えられていない。
最近明らかになった中国国内の騒乱では農地の強制収用をめぐり、農民と工事関係者らが衝突するなどのケースが多い。今月だけでも、河北省で立ち退きの補償金をめぐるトラブルで、村民らが猟銃などで武装した二百−三百人の集団に襲撃され、五十人以上が死傷。広西チワン族自治区でも、立ち退きを拒否する住民と警官隊が衝突し、多数の死傷者が出ていた。
●中国で、半年間に邦人49人が死亡、働き盛りの突然死も
日中経済の往来や中国での邦人コミュニティが拡大するのに伴い、日本人が中国で死亡するケースが増えている。NNAが30日、中国各地の在外日本公館を通し調べたところ、今年上半期(1〜6月)に中国で死亡した邦人数は49人に上っていることが分かった。特に日系企業が集中する華東地域で大きく増加。6月下旬、山東省で3人が死亡した交通事故のような事故死のほか、働き盛りのビジネスマンの突然の病死も相次いでおり、上海の総領事館などは安全と健康の両面で在中邦人に注意を呼びかけている。
●落合信彦の最新刊「虎を鎖でつなげ」
作戦名「身構える虎」。それは2007年、国内大分裂によって政権存続の危機に直面した中国共産党の最終選択肢だった。このまま行けば、米中戦争に発展し、東アジアは壊滅する。作戦発動を阻止するため、100分の1の勝機にかけて起ち上がる戦争請負人・・・・。
著者は,インタビューのなかで、このように話している。
「共産党の支配というのは矛盾を含んでいるのです。矛盾だらけなんです。たとえば労働者の天国、農民の天国といいながら、今一番、地獄をみているのが農民なんです。歴然と階級がある。社会主義を標榜しながら、社会主義ではないのです。拝金主義です。最終的に、地球を滅ぼすのは中国人じゃないかと思うのです。中国が、本当の意味でミドルクラスになるには、原発が300基必要になるんです。その結果、文字通り、黄河が黄色くなる、世界の海が汚染される。中国の上にぽっかりとオゾン層の穴があく。だから,中国はすごく大きな危険を含んでいるのです。中国の民は、「これはなんだ」と思っている。共産党は求心力がない、国民の不満を外に向けさせ、政権を維持するためにはどうするんだ。反日教育で日本は叩いた、反帝国主義も古い。台湾しかない。中国は、アメリカと真っ向からぶつかる可能性がある。最終戦争です。」
●人民元2%切り上げ、通貨バスケット制採用
中国人民銀行(中央銀行)は21日夜、人民元レートを事実上米ドルに固定している為替制度を廃止し、同日午後7時から、それまでの1ドル=8・2765元から、1ドル=8・1100元に2%切り上げるとともに、米ドル、欧州ユーロ、日本円の3大通貨に一定割合で連動すると見られる「通貨バスケット制」を採用したと発表した。
人民元為替制度の変革は1994年1月1日に、公式レートを、市場レートに統合する形で約30%切り下げて以来、11年ぶりだ。
中国がドル固定制から脱却したことで、香港ドルなど、ドルに固定している他のアジア通貨の切り上げや変動幅拡大を促すなど、周辺諸国・地域にも大きな影響を与えそうだ。
ただ、導入する通貨バスケット制では、日々の変動幅は、中央値の上下0・3%ずつ、合わせて0・6%と小幅にとどまる。
今回の通貨バスケット制への移行は、海外からの人民元のドル固定制への批判をかわす狙いがある。特に最近はアメリカ、欧州連合(EU)との間で繊維貿易摩擦が激化して来たのに関連して、「人民元を実勢よりも安いレベルで米ドルに固定していることが貿易不均衡の原因」との批判が一層強まっていた。
中国金融当局幹部が、昨年来、先進国財務相・中央銀行総裁会議(G7)にオブザーバーで2度に渡って参加し、政策協調を求められてきたことも、今回、中国が為替改革に踏み切ったことに一定の役割を果たしたと見られる。」
●中国・三峡ダムが完成
中国最長の河川、長江の中流に建設されていた世界最大級の「三峡ダム」(湖北省宜昌市)の本体工事が20日、完成した。ダムは長江の治水と発電、水運を兼ねた三峡プロジェクトの中心事業。これまでに1260億元(約1兆7000億円)を投じ、住民112万人を移住させた。発電設備など付帯工事を含めたプロジェクト全体の完成は2009年の予定だ。